台風テーマに交流授業 専門家が未来の新技術など紹介 奄美大島
台風をテーマにした学習イベント「世界一聞きたい台風の授業3」が26日、鹿児島県奄美市名瀬のアマホームPLAZAであった。地元高校生19人が参加。最先端を走る研究者との議論を通じて、台風の現在や将来について学ぶとともに、奄美の現状について意見を交わし知見を広げた。 日本初の台風専門研究機関「横浜国立大学台風科学技術研究センター(TRC、神奈川県)」と奄美に拠点を持つ東京大学大気海洋研究所(千葉県)の共催。 TRCは2022年から一般向け講座「TRC台風専門学校」を開いており、台風常襲地帯の島民との対話を目的に奄美初開催。同日は、高校生向けの授業に加えて一般向けシンポジウム「奄美と台風」も開いた。 授業では気象学や心理学が専門の3人が登壇し▽台風の将来▽災害ストレス▽台風制御―をテーマにそれぞれ、「地球温暖化に伴い、奄美を含め海面水温が上昇しており、台風が今より強くなり得ること」や「防災グッズの使い方や人により現れ方が異なる災害時のストレス反応を事前に学ぶ〝心の備え〟の重要性」、「2050年を目標に台風の勢力を航空機から人為的に弱めたり、台風の風で帆船を動かし発電したりする〝タイフーンショット構想〟」などを伝えた。 その後生徒は4班に分かれてグループワーク。専門家も入り、物流への影響や停電などが問題となる奄美の台風の現状などについて意見を交わした。 県立大島高校の生徒らは「奄美は台風が多く、毎回同じ備えをしていたが、心の備えも大事だと思った」「ストレスも被害の一つとなり、心の面でも備えた方がいいと思った」と話した。 シンポジウムには、オンラインを含め約100人が参加。パネルディスカッションには名瀬測候所の木村誠治所長も登壇し、群島内各島の地形による風や雨による被害の違いなどを説明。「島の特性を理解して、災害リスクを把握することが重要」と指摘した。 TRCセンター長の筆保弘徳教授は「奄美に住む方々と対話ができてよかった。われわれが勉強させていただいた。来年も開催したい」と話した。