【闘病】旅行先での不正出血で不安になり、受診したら「子宮頸がん」だった…
「お任せします」ではない、現代のがん治療
編集部: そこからどうされたのですか? 山口さん: 実施している県外の病院へ行き、説明を受けました。重粒子線治療は基本的に腫瘍が6cm以上の場合に適応ですが、私の場合は3.9cmでした。この時先生とたくさん相談し、改めて重粒子線治療ではなく化学放射線療法を受けた方がよいのでは、と助言をいただきました。私自身も、重粒子線治療を選択した場合は県外の病院に毎日通うことになり、体力が持つのかという新たな心配もありました。色々と考えた末、抗がん剤と放射線治療の併用での治療を進めていくことにしました。 編集部: そのときの心境について教えてください。 山口さん: 少ない情報の中で、最終的には自分で治療の選択をしなければならないという不安と恐怖はありました。どの治療を選択するにしても、副作用や後遺症は個人差があるため、やってみなければ効果の有無や副作用はわかりません。ですので、ネットや書籍などからできるだけ情報を集めるようにしました。 編集部: 実際の治療はどのように進みましたか? 山口さん: 週1回の抗がん剤(シスプラチン投与)を5回、平日は毎日放射線治療を受け合計29回行いました。シスプラチン投与2日目から吐き気・胃もたれなどの症状がではじめて、1週間後からは下痢もひどくなりました。整腸剤を飲むも全く効果はなく、あまりにひどいと放射線治療に影響するので下痢止めを処方してもらいました。シスプラチン2回目を投与した日の夜中には両下肢のしびれが出ましたが、3時間ほどでおさまりました。さらに、3週間後から週1回、子宮頸部に直接放射線を照射する腔内照射がはじまり、全部で4回受けました。抗がん剤の副作用でひどい貧血となってしまい、放射線の効果が薄れてしまうからと輸血も受けました。 編集部: 受診から治療、現在に至るまで、何か印象的なエピソードなどあれば教えてください。 山口さん: 新型コロナウイルス感染による面会制限があり辛かったです。家族と面会はできましたが時間制限があって病棟の入り口でしか会えません。もちろん外出もできないので、入院が長くなれば長くなるほどストレスが溜まり、精神的に辛い時期がありました。 編集部: 大変でしたね。 山口さん: でも辛いことばかりではなかったです。治療で全く食べられなくなり、いつまで続くかわからないひどい下痢で不安になっている時に、看護師の方がベッドサイドでずっと話を聞いて共感してくれたおかげで随分気持ちが楽になりました。放射線科では「好きなミュージシャンは?」と聞かれてドリカムと答えると、その時から毎回ドリカムの曲を流してくれるようになりました。特に腔内照射のときは同じ姿勢で2時間耐えなければならないので、それで気がまぎれて本当に助かりました。これも放射線科のちょっとした心遣いですね。