【闘病】旅行先での不正出血で不安になり、受診したら「子宮頸がん」だった…
「2人に1人ががんになる時代」とも言われていますが、それでもやはり「まさか自分が」と思ってしまう人は少なくないと思います。今回お話を伺った山口さんは、「念のため」に受診したところ「子宮頸がん」であることが発覚したそうです。「嫌な予感」が現実となり告知を受けるまでの経緯や、現在は患者自身が決めなければならないという治療法の選択肢などを伺いました。 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年2月取材。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
「念のため」に受診したら、まさかのがん宣告…
編集部: 最初に不調や違和感があったのはいつでしょうか? 山口さん: 2023年の秋ごろ、親戚と旅行先でシュノーケリングをしたあとに、少量の不正出血がありました。すぐに出血は止まったのですが、念のため自宅近くの産婦人科を受診しました。すると、「すぐに専門病院を受診してください」と言われ、その場で紹介いただいた病院に受診予約をしました。 編集部: 受診から、診断に至るまでの経緯を教えてください。 山口さん: 11月初旬に専門医を受診し、血液検査と子宮頸部の細胞診を受けました。翌日、主治医から直接連絡が入り「電話では詳しいことは言えないけれど、これから全身の検査をしていきます」と言われました。「電話では言えないってどういうこと?」と嫌な予感がしたのを覚えています。その1週間後の受診で「子宮頸がん」と診断を受けました。それから、1カ月かけてCT・MRI・胃カメラ・大腸カメラ・PETなどの検査を受けて転移の有無を調べました。 編集部: 告知の時の様子を詳しく教えてください。 山口さん: 診察室とは別の個室に呼ばれ、そこで告知されました。主治医の説明が淡々としていたこともあり、私も事実と感情が分離しているような感じで、最初はなんだか人ごとのように受け止めていました。しかし、時間の経過とともに不安が押し寄せてきて、転移がないかの検査結果を聞くまでは生きた心地がしませんでした。私の場合、父親が胃がんで亡くなったこともあって、本当に怖かったです。幸い転移はなく、ひとまずほっとしました。 編集部: どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか? 山口さん: 治療方針として「手術(広汎子宮全摘術)」と「抗がん剤と放射線治療の併用」(同時化学放射線療法)の2つの選択肢が提案されました。手術の場合、2週間程度入院した後に追加治療として抗がん剤と放射線治療になります。一方、抗がん剤と放射線治療の併用の場合は1カ月半の入院治療と説明されました。その時の同意書には、副作用や後遺症など怖い文言が並んでいました。副作用の程度には個人差があることや、副作用のほとんどない人もいると説明を受けましたが不安でしたね。 編集部: どのように治療法を決めたのですか? 山口さん: 先生から、この病院ではできないものの保険適用外で「重粒子線治療」という治療法もあると聞きました。通常の放射線治療は子宮の近くにある腸や膀胱なども少なからず影響を受けますが、重粒子線治療はがん細胞にピンポイントで照射するため、ほかの臓器への影響が比較的少ないそうです。高額になるのですが、医療保険・がん保険に加入し先進医療特約をつけていたので「詳しく話を聞きたい」と伝えました。先生も「きちんと説明を受けてあなたが納得した上で治療を受けてもらったほうがいいから」と、重粒子線治療をやっている県外の病院に紹介状を書いてくれました。