開幕1軍に生き残ったドラ1は3人。田中正義と佐々木千隼の明暗理由とは?
プロ野球の開幕を2日後に控え、各球団の1軍選手登録が29日、公示された。昨秋のドラフトで入団した新人で1軍登録されたのは15人。千葉ロッテの佐々木千隼(桜美林)、横浜DeNAの濱口遥大(神奈川大)、オリックスの山岡泰輔(東京ガス)の3人は1軍登録されなかったが、これは先発ローテに入ったための処置で、先発時に1軍登録される。ドラフト1位で1軍に生き残ったのは、表のように12人中、わずか3人。特に明暗を分けることになったのが、5球団が競合したソフトバンクの田中正義(創価大)と外れ1位で同じく異例の5球団競合となったロッテの佐々木の2人だ。 田中は、紅白戦に2試合に登板しただけで、早々と2軍落ちを宣告された。2月23日の紅白戦では2回を投げて4四球とストライクが入らずにキャンプの疲労蓄積からか、創価大時代は最速156キロを誇ったストレートも、140キロが出ないものがあるほど色褪せた。またプロ野球界で、俗に“イップス”と言われるボールの制御が無意識にできなくなる不安をフィールディングで覗かせたため、球団サイドも、慌てず育成する方針に切り替えた。先発候補が余るほどいるソフトバンクゆえの処置だ。 一方の佐々木は、オープン戦4試合で、15回1/3を投げて防御率0.59の数字を残して、オープン戦の防御率1.46という高いレベルをキープしたチーム内競争を勝ち抜いた。伊東監督は、4月6日の日ハム戦での先発を示唆している。先発6人目の座を大嶺と争ったが、結果を残した新鮮力に賭けた形だ。 パ・リーグに詳しい評論家の池田親興さんは両者の明暗をこう分析している。 「田中は、肩、肘に負担のかかる投球フォームをしていたので、疲労が貯まって“ハリ”が出てしまうと肘が下がるなどフォームを崩してボールがいかない、ストライクが入らないという悪循環に陥っていた。文句なしの高位能力を持ったピッチャーだが、アマチュアではプロのようなキャンプも行わないし、まだ肉体的に不完全だったということだろう。無理をさせてバラバラになるのは怖い。ソフトバンクは先発に困っていないので田中にとっては賢明な方針になったと思う。内野の守備への不安なども残るが、そのあたりをクリアして立て直せば、間違いなくどこかで1軍に出てくると思う。 それに比べて佐々木は、キャンプ、オープン戦を通じて、アマチュア時代のフォームを崩すことがなく、試合を作れるというまとまりがあった。ロッテもオープン戦では、誰を落とすか迷うほど投手陣が良かったが、そういう競争を勝ち抜いたメンタルの強さも評価していいだろう」 プロのキャンプは、アマチュア時代と比べて、練習量やその質だけでなくファンやメディアに囲まれ緊張度も違う。しかも対戦相手は、ひとつのミスも許してくれない相手である。その荒波に揉まれて崩れた田中と、持ちこたえた佐々木。2人の現時点での明暗を分けたのはその部分か。