開幕1軍に生き残ったドラ1は3人。田中正義と佐々木千隼の明暗理由とは?
佐々木以外にドラ1でローテを勝ち取ったのが、横浜DeNA左腕・濱口とオリックスの山岡の2人だ。 濱口に関しては、ラミレス監督が「キャンプの初日で非常にハードなボールを投げていた。意気込んだだけのアピールかなと思ってたいが、ずっと維持した。146キロから148キロのストレートをずっと投げているしチェンジアップもいい。しかも、頭がよく野球センスもある。クイックもできて、走者を置いてもバランスもスピードもキープできる。左投手としてのポテンシャルが高い」と高い評価を与えている。 本人は、「まだまだ内容はよくない。球種が少ないと打ち取ることがむずかしいと試合で投げるたびに感じている。持っている球すべてで勝負できるくらいの精度がないと、1年戦うのは難しい」と油断はしていない。4月2日のヤクルト戦の先発濃厚だ。 オリックスの山岡は、WBC前の強化試合となった豪州戦で4回を3安打、自責点ゼロの精密なコントロールのピッチングを見せてアピールに成功した。外の変化球の出し入れが絶妙だった。山岡は4月13日のロッテ戦の先発が濃厚だ。 前述の池田さんも、「濱口は上背はないが、ボールに角度がある。変化球の精度が心配だが、ピッチングは組み立てられる。山岡は外のボールの出し入れの精度が高い」と見ている。 ドラフト2位以下に目を向けると野手で存在感を示した選手が目につく。開幕スタメンを射止めたのが西武3位の源田壮亮(トヨタ自動車)。堅実な守備に加えて、オープン戦では、11試合に出場し、打率.300を残した。野球を知っている部分も辻監督の信頼を得た。 中日2位の京田陽太(日本大)も、当初はプロのスピードに戸惑ってバッティングがさっぱりだったが、徐々に慣れて、特にその足は「機動力を使いたい」という森監督の構想にピタリとあてはまった。「ショートだけでなくセカンド、サードもやらせている」(森監督)とのことで、ベテラン荒木とのツープラトンや、ゲレーロのバックアップなど、重要なピースを任されそうだ。阪神5位の糸原健斗(JX-ENEOS)もショートだけでなくセカンド、サードも守れるユーティリティプレーヤーとして重宝される。 日ハム2位の石井一成(早大)も内野手だ。また横浜DeNAでは9位の佐野恵太(明治大)もオープン戦で11打点をマーク、代打の切り札として1軍切符を手にした。 2位以下の投手に目を向けると、投手強化が課題のヤクルト2位の星知弥がブルペン要員として入った。150キロ級のストレートは、短いイニングなら威力抜群。またオリックスでも2位の黒木優太(立正大)、オープン戦で防御率0.00だった巨漢のセットアッパー、8位の沢田圭佑(立教大)が抜擢された。いずれも中継ぎ強化。勝利方程式としての期待だ。ちなみに沢田は大阪桐蔭で阪神・藤浪の同級生である。 楽天では、球団史上初の3人を抜擢。4位の菅原秀投手(大体大)、5位の森原康平投手(新日鉄住金広畑)、9位の高梨雄平(JXENEOS)の3人だが、いずれも投球スタイルに特色がある投手で、特に変則左腕の高梨は、対左打者のワンポイントでいい仕事をするかもしれない。 また巨人も中継ぎの強化に3位の谷岡竜平(東芝)、4位の 池田駿(ヤマハ)と社会人出身の2人を1軍登録した。評論家の池田さんは、「スピードのある星は面白い。度胸もある。ヤクルトにおいて重要なポジションを任されることになるのではないか。新人がチャンスをつかむのにはチーム状況が関係するが、この星とオリックスの投手3人は、チームにとってプラス戦力というよりも、もっと期待値は大きく、本来新人は計算してはいけないものだが、彼らの出来がチームの勝敗を左右しかねないと思う」と言う。 15人プラス3人の新人が果たして今季のペナントレースにどんな影響を与えるのだろうか。