ビットコイン

韓国の仮想通貨取引所に背を向けて海外に出て行く仮想通貨投資家が増えている。韓国株式を離れて米国株式投資家に転向する人々が増加したことに続き、仮想通貨市場でも海外移転ブームが激しい。米国大統領選挙でドナルド・トランプ氏が当選して以来、仮想通貨狂風が巻き起こり、海外移転が加速するだろうという懸念も聞かれる。 ◇海外移転仮想通貨、１年間で２．７倍↑ １２日、金融情報分析院（ＦＩＵ）によると、今年上半期（１～６月）に韓国仮想通貨取引所から海外取引所に移転された仮想通貨規模は５２兆３０００億ウォン（約５兆７３００億円）に達する。１件あたり１００万ウォン以上の移転だけを計算したもので、昨年上半期（１９兆７０００億ウォン）に比べて１年間で２．７倍に増えた。昨年下半期（２５兆３０００億ウォン）も上半期より仮想通貨海外移転規模が増えたが、今年はペースがさらに速まった。 仮想通貨を海外取引所に移転させた利用者数も昨年上半期１１万９０００人から今年上半期には２０万３０００人へと７０．６％増加した。韓国投資家がアップビット（ＵＰｂｉｔ）やビッサム（Ｂｉｔｈｕｍｂ）のような国内取引所ではなく、バイナンス（Ｂｉｎａｎｃｅ）やコインベース（Ｃｏｉｎｂａｓｅ）を選んだという意味だ。ただしＦＩＵは海外仮想通貨取引所から韓国国内に流入した規模は別途集計はしていないため、純流出水準を正確に把握するのは難しい。 仮想通貨取引所関係者は「韓国ウォンでビットコイン（Ｂｉｔｃｏｉｎ）など仮想通貨を購入し、これを海外取引所口座に送金するケースが増加している」とし「国内仮想通貨時価総額の増加ペースよりも海外移転規模増加ペースのほうが速い。これに韓国仮想通貨価格が海外より高い『キムチプレミアム』も消える傾向」と話した。この関係者は「トランプ氏当選以降、ビットコインに対する関心が急激に高まったことから、仮想通貨海外移転もさらに増えるだろう」と付け加えた。 ◇１００倍レバレッジ先物投資探して バイナンスなど海外仮想通貨取引所は韓国取引所とは違い、先物投資が可能だ。バイナンスは仮想通貨の種類によって最大１２５倍までレバレッジをかけて取り引きすることができるようにサポートしている。例えば１０万ウォン分のビットコインを買って１００倍のレバレッジを活用する場合、価格が上昇した時に１０００万ウォンの投資したと時と同じ利益を得るという意味だ。 昨年からバイナンスとコインベースを利用しているカンさん（３９）も先物投資をするためにアップビットにあった資産を海外取引所に移した。カンさんは「少ない資金で多くの金を儲けたいというのがほとんどの仮想通貨投資家の心理」としながら「米国大統領選挙２日前にドージ（ＤＯＧＥ）コイン４５０万ウォンを買って１０倍レバレッジをかけ、９００万ウォンの利益を得た。逆に短期間で億単位まで損失を被ったこともある」と話した。 ７月仮想資産利用者保護法施行を控えて韓国取引所を利用していた大口投資家が海外取引所に移したという分析も出てくる。相場操縦など不公正取り引き行為に対する処罰規定が導入され、法の監視網を避けて海外に抜け出たということだ。キム・ガラム弁護士（法務法人グッドプラン）は「仮想通貨投資家の中には有名インフルエンサーのまねをして売買する人々が多いが、この場合大規模取引を通した相場操縦に該当する場合がある」とし「このような懸念から『ＫＯＬ』（Ｋｅｙ　Ｏｐｉｎｉｏｎ　Ｌｅａｄｅｒ）と言われる多数の大口投資家が海外取引所に出て行ったと理解している」と話した。 ◇「仮想通貨の価格変動性に留意を」 トランプ氏の当選以降、ビットコインをはじめとする仮想通貨価格は急激な上昇を続けている。短期間で上昇幅が大きかったことから、下落傾向に転換する場合、変動幅がさらに大きくなる可能性があると懸念する。また、韓国仮想通貨取引所は利用者保護問題が発生した場合、金融当局が一部関与できるが、バイナンスなど海外取引所に対しては政府の監督が不可能という点も危険要因に挙げられる。 弘益（ホンイク）大学経営学部のホン・ギフン教授は「トランプ氏が実際ビットコイン戦略資産備蓄を実行するかどうか保障されていない状況だ。期待が反映された価格なので、今後失望による下落も大きく現れる可能性がある」とし「特に仮想通貨自体が変動性の大きな商品なので、レバレッジを設定する投資はさらに危険」と話した。 韓国資産市場を脱出する現象は仮想通貨だけでなく株式市場でも明確に現れている。韓国預託決済院の株式情報ポータル「ＳＥＩＢｒｏ」によると、韓国投資家の米国株式保管額は８日１０２４億６２１６万ドル（約１５兆８３６６億円）を記録して史上最高値を記録した。トランプ氏の大統領当選が確実になった５日から米国株式保管額が４営業日連続で増え、１年前（６２１億６３９９万ドル）に比べて６４．８％増加した。