エクササイズが続く人、続かない人、その違いとは?【40歳から始める! 健康寿命を延ばす「手力・足力」!②】
40歳から悪化する外反母趾やウオノメ・タコが寝たきりの第一歩!?
また、中断する原因のひとつに痛みがある。40歳を過ぎた頃から、手足に痛みを感じることが増えてくる。これも挫折する大きな要因だ。 連載の第1回<○力が弱い、○○が遅い人は、将来の要介護予備軍!?>で寝たきりになる原因のサルコペニアについて、その第1段階として「歩く速度が遅い人は要注意」といったお話をした。もうひとつの引き金になる要因が、40歳頃から増える手や足の痛みだ。 特に足の痛みは将来寝たきりに直結する。 「運動不足の状態が続くと、特に女性では40歳を過ぎたあたりから、ホルモン分泌の変化の影響で関節の靭帯が緩み、筋量が少なくなってきます。これが足部に起こると、たくさんの関節で構成されている足のアーチ構造、すなわち土踏まずが落ちて扁平足ぎみになります。 このとき、足は上から潰された感じになりますから、足指も外に開きます。この状態でつま先が細い靴などを履くと、ちょうど外反母趾のような変形を引き起こします。これが癖になると足指の付け根に痛みを起こします。また、扁平足になると、これまで体重を支えてはいなかった足の部位に力がかかるので、ウオノメやタコなどができやすくなってしまいます。 このような加齢に伴う足の変形メカニズムを理解して、これを補う筋肉を新たにトレーニングすることが大事です。もちろん外反母趾のパッドや土踏まずを支える足底板などの利用も有効です」 《痛みによる悪循環》 痛いので歩かない ↓ 活動量が減る ↓ さらに筋力が落ちる ↓ 歩けなくなる ↓ 将来、寝たきりに 「まずは足指や足裏、足まわりの筋肉を鍛えて、扁平足や外反母趾を悪化させないことがとても重要です。特に40歳頃から足まわりの筋トレが必要な理由はここにあります」
【教えてくれたのは】 大渕修一さん 理学療法士。東京都健康長寿医療センター 研究所・福祉と生活ケア研究チーム研究部長。国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院卒業後、米国ジョージア州立大学大学院にて理学修士号、北里大学医学部大学院にて医学博士号を取得。北里大学医療衛生学部助教授などを経て現職。専門は理学療法学、老年学、リハビリテーション医学。著書に『70歳からの筋トレ&ストレッチ』(法研)など多数。 イラスト/green K 取材・原文/山村浩子