クボタショック震源地・尼崎市が小中学校のアスベスト飛散で“ねつ造”安全宣言 “違法”工事まで計画 住民だけでなく市職員や議員に被害発生でも風化の現実
兵庫県尼崎市は11月26日、市内の小中学校3校で天井などの吹き付け材からアスベスト(石綿)を検出したと発表した。市は教室内などの空気を測定したが、「一般大気中の目安(1本/リットル)以下であり、問題なく安全」と安全宣言。しかし実際には市の主張する「安全」の目安は存在せず“ねつ造”といってよい。さらに“違法”工事の計画まで飛び出した。(井部正之) 【関連資料】環境省調査から算出した各年度ごとのアスベスト漏えい率
◆小中学校3校で吹き付け材の石綿見落とし
同市は8月に下坂部小学校(同市下坂部)で校舎の建て替えに向けた発注前検査を実施したところ、校舎の4部屋で天井などの吹き付け材から基準(重量の0.1%)超のクリソタイル(白石綿)を検出。除去などの対応を迫られることになった。 この問題を受けて、市内の67小中高校・幼稚園を緊急点検。11月26日、上坂部小学校(同市東塚口町)、小田北中学校(同市神崎町)、南武庫之荘中学校(同市南武庫之荘)の3校で吹き付け材から基準超の白石綿を検出したと発表した。 上坂部小学校では東校舎2階にある視聴覚教室・準備室、理科教室・準備室、第2音楽室、多目的室、PTA室、職員作業室、教育相談室の9部屋で、はりに使用された吹き付けパーライト(ガラス質の火山岩を熱処理して作る多孔質材)から白石綿を検出した。これらの部屋には天井板があったが、一部のはりが露出していた。 小田北中学校では南校舎にある屋内階段で1~4階までの天井に施工された吹き付けバーミキュライト(ひる石)に白石綿が含まれていた。南武庫之荘中学校では北校舎の東階段1~4階天井の吹き付けパーライトから白石綿を検出した。 市の衛生研究所が空気中の各校1カ所について空気環境測定を実施したところ、石綿以外の繊維も含む可能性のある「総繊維数濃度」で上坂部小学校と小田北中学校で空気1リットルあたり0.17本、南武庫之荘中学校で定量できる下限の同0.056本未満。石綿だけを計数した「石綿繊維数濃度」も同じ数値という。 発表によれば、吹き付け材のいずれも表面に塗装がされており、「剥落している様子もなく健全」という。さらに市は〈空気中の濃度測定を行いましたが、結果は、「アスベストモニタリングマニュアル」(環境省)における一般大気中の目安(1本/リットル)以下であり、問題なく安全です〉と安全宣言した。