スプリンターズS、新鋭サトノレーヴは戦国スプリント路線の天下を獲れる器か
この馬の強みは、何と言ってもレースでの安定した取り口。スタート直後に逃げ馬のあとに続く好位につけられ、道中かかることもなく直線を迎え、勝負どころでいち早く馬群から抜け出していく。そのため、レースの流れに左右されることもなく、常に持てる力を存分に発揮できる。 血統的にも、半兄にGI高松宮記念(中京・芝1200m)、スプリンターズSでそれぞれ2着となった実績を持つハクサンムーンがいる。父も国内外のスプリントGIを5勝している"絶対王者"ロードカナロアと、短距離王となる下地は十分だ。 しかも、スプリンターズSの舞台となる中山は3戦3勝と好相性。この一戦のために、名手ダミアン・レーン騎手が来日して手綱を取るのも心強い限りだ。 死角らしい死角がまったく見つからないサトノレーヴ。はたして、スプリンターズSを制して、しばらく戦国の様相を呈していたスプリント路線の天下を収めることができるのか。 「GIと言っても、ここ数年は似たようなメンバーが勝ったり、負けたりしているようなレベル。GI初挑戦でも、格負けするようなことはないと思います。流れに左右されませんし、道悪も勝っているので、極端な馬場にならなければ大丈夫。突発的なアクシデントでもない限り、勝つ確率はかなり高いと見ています」(専門紙記者) 競馬サークル内では、注目はサトノレーヴが「勝つかどうかではなく、どう勝つか」といった声もあるという。サトノレーヴがスプリンターズSを堂々と勝つことになれば、日本の短距離界に長らく不在だった"絶対王者"への道が開けるに違いない。
新山藍朗●文 text by Niiyama Airo