住友商事、社内起業で訪日観光客の向け「衣料レンタル」海外から熱視線「旅の荷物手軽に」
海外から大きな反響。想定外のユーザーも
サービスを開始すると、CNNやワシントンポスト紙など主要メディアで取り上げられるなど、海外から大きな反響があった。 サービス開始から1年間の利用者アンケートでは、利用の動機として「重い荷物から解放されたい」(39%)がもっとも多く、「パッキングの手間を省きたい」(18%)、「旅行のためだけに衣服を購入したくない」(同)が続いた。 守谷さんは 「当初は20~30代の利用が多いと想定していましたが、実際は40~50代がボリュームゾーンで、80代の方の利用もあります。ミドルやシニア層は旅慣れており、ロストバゲージや重い荷物の苦痛を知っているのでしょう。だからこそ、便利に旅をするためにお金を使うことにためらいを持たないのでは」 と分析する。 バカンスなどで長期滞在型が多い欧米の観光客や、自国が温暖な気候がゆえに冬服を持っていない東南アジア旅行者の需要も取り込めている。 思いがけない事業者からの提案ももたらされた。鉄道事業者だ。 電車の中で大きなスーツケースを持ち込む訪日外国人と、日本人乗客のトラブルはオーバーツーリズムの弊害になっている。Any Wear, Anywhereの活用によって、この課題を解決しようと連携を持ちかけられているという。
「値段2~3倍でも使う」
1年間実証実験を続けて分かったこともある。一つは季節による需要の変動だ。 11月から年末には、シンガポールなど東南アジアからの来訪者が増える。東南アジアの国・地域では、日本の寒さに耐えられる冬服を持っている人は少なく、Any Wear, Anywhereの需要が高かった。今後、冬服のセットを強化することを検討している。 需要が多いサイズも把握できた。顧客の要望を受けて、サイズ展開を当初のS~XLから拡大し、XS、2XL、3XLも取り扱う。子ども向けのセットも追加した。需要に応じて多めに用意するサイズ、少なめの在庫で済ませるサイズとメリハリもつけていく。 利用者アンケートでは「今の価格の2~3倍でも使う」という声も寄せられた。Any Wear, Anywhereでは、JAL以外への展開や予約期限の短縮など、サービスをバージョンアップした上で実証実験の期間を当初予定(2024年8月31日)から2025年3月31日まで延長している。
種市房子