浅草の雷門前でセルフィーを撮影する観光客。インバウンド観光客も多く見かける。（撮影：2024年8月）

インバウンド需要の勢いはとどまるところを知らない。 日本政府観光局（JNTO）によると、2024年9月の訪日観光客は前年同月比31.5％増の287万2200人。8カ月連続で同月過去最高を更新した。9月までの累計訪日客数は約2688万人に上り、すでに2023年通年（約2500万人）を上回っている。 【全画像をみる】住友商事、社内起業で訪日観光客の向け「衣料レンタル」海外から熱視線「旅の荷物手軽に」 今後も紅葉・雪の観光シーズンを控え、訪日客数は過去最高だった2019年の水準（3188万人）を超える見込みだ。 その「訪日外国人向け」に、衣料セットをレンタルするサービス「Any Wear, Anywhere」が人気を集めている。独自のビジネスモデルを編み出し、運営しているのは住友商事の若手・中堅3人だ。

JALともコラボ。「スギ」1年間分のCO2削減効果

Any Wear, Anywhereは、訪日旅行者らに衣料を貸し出すサービスだ。 トップス5着、ボトムス3着で1セットとなっており、ホテルでチェックイン・アウト時に受け取り、返却ができる。原則として2週間レンタルでき、追加料金を払えば延長も可能だ。 旅行者にすれば、大きな荷物を抱える苦痛から解放される上、日本ならではのファッションも楽しめる。男性、女性、キッズそれぞれに対してサイズ別のセットを用意しており、総セット数は300セットを超える。 現在はトライアルサービス期間ということもあり、価格は抑えめの1セット5000～6000円（税込み）に設定している（冬服は7000円での提供になる見込み）。 利用者は原則2週間前までに希望サイズをWebで予約し決済。受取・返却日、受け取りホテルなどをフォームに入力すると、チェックイン前日に指定されたホテルに服が配送される仕組みだ。 住友商事が予約システムの開発、PR、衣類の調達管理を担う。貸し出す衣料は、スタートアップ企業の「ウィファブリック」から調達している。ウィファブリックは、アパレル廃棄を無くすために、余剰在庫の衣料品などを格安で販売するマッチングサイトを運営している。洗濯・クリーニングはクリーニング大手・白洋舎が、配送は物流業者が請け負う。 Any Wear, Anywhereサービス開始は、2023年7月。日本航空（JAL）との実証実験という形で始まった。 JALは集客の窓口となるほか、サービスを利用した場合のJAL機への持ち込み荷物の低減によるCO2削減効果を検証。実証実験では、1回のサービス利用で「スギ」1本が年間で吸収するCO2量に相当する平均7.7キログラムのCO2を削減できたという。