ソフトバンク甲斐拓也（2024年撮影）

　いよいよ開幕する日本シリーズ。日本一をかけた戦いはDeNA、ソフトバンク、どちらに軍配が上がるのか？　日刊スポーツ評論家陣の谷繁元信氏（53）がシリーズの行方を占った。 　　　　◇　　　◇　　◇ 　4勝2敗でソフトバンクの優勝と予想する。ベイスターズOBとして、本当は4勝3敗でDeNAと言いたいところだが、悔しいかな、トータルで見ればソフトバンク有利と言わざるを得ない。いくら短期決戦は分からないとはいえ、シーズン90勝もしたチーム。CSの戦いぶりからも隙が見えなかった。 　攻撃陣はバリエーションが多彩。1発だけでなく、足も小技も使える。投手陣も先発が5、6枚おり、いつも通りの野球をすればいい。あとは、小久保監督が選手をどう組み込むかだ。日本ハムとのCSファイナルでは初戦で川瀬を起用し、はまった。それでも第2戦からは使わなかった。実績のある中村晃も出場しないまま。余力を残して日本シリーズ進出を決めており、層の厚さをあらためて感じた。 　捕手に経験を積んだ甲斐がいるのも大きい。DeNA打線に対し、3人ほどに狙いを定め、初戦から徹底した攻めを仕掛けるのではないか。CSでも初戦で清宮に対し、第1打席で全球内角を攻め、それを布石にその後の打席も抑え込んだ。シリーズでも同じようにやってくると思う。 　では、これだけ豊富な戦力に対し、DeNAはどう戦えばいいのか。まずは、ミスをしないことだ。今回のCSがいい例。ファーストステージから5連勝しながら、巨人との第4戦でエラーが出て、そこから2連敗した。短期決戦だけに、1つのミスで流れを失う。ただ、同じことはソフトバンクにも言える。どんなチームでもミスを完全になくすことはできない。極力ミスを減らし、相手のミスにはつけ込みたい。 　DeNAが優勝するには、やはり打線がカギになる。巨人とのCSファイナルは打線がふるわず、僅差のしのぎ勝ちだった。勝ち方の引き出しが増え、選手の自信になったのならいい。とはいえ、DeNAらしい戦い方ではなかったのも事実。しかも、今回は巨大戦力が相手となる。しのぎ合いを続けるのは相当難しいし、負担も大きい。できれば第3戦までに打って勝つ試合を1つはつくりたい。そうすれば、DeNAに流れがくると思う。そのためには、先に挙げた甲斐の仕掛けにはまらないことだ。 　幸い、ディフェンスの陣容は整いそうだ。東が間に合えば先発は5枚そろう。CSを見る限り、リリーフ陣の状態もいい。山本、伊藤と捕手に離脱が続いても、CSファイナルでは戸柱が巨人の打者を惑わせた。アナリストのデータも生かし、巨大戦力に挑んで欲しい。（日刊スポーツ評論家）