【NBA】グリズリーズ番記者に聞く河村勇輝の評価「司令塔としての力量はすでに上質」
――河村の長所と短所を改めて挙げるならどういった部分でしょう?
MW:長所はスピードと視野の広さだ。良いパスが出せ、他の選手たちがどこにいるべきかも理解している。それらの能力によって、オフェンスの指揮を上手に執ることができる。常にエナジーに満ちていて、恐れを知らないプレイにも好感が持てる。身体ごと飛び込んでいくことを恐れず、小柄ではあってもディフェンス時にはオフェンシブファウルも取れる。 一方、弱点を挙げるとすれば、まだシューティングが安定していないこと。対戦相手はユウキのスピードに気づき始めていて、今後もある程度の確率でショットを決められなかった場合、マッチアップするディフェンダーは正対した時に距離を詰めず、離れて守ろうとするだろう。そのためにはミッドジャンパー、3ポイントショットの精度を上げる必要がある。NBAレベルでも安定した形で3Pを決められるようになったとき、ユウキの可能性はさらに広がる。
――サイズ不足ゆえに、ディフェンスも難しいものになるでしょうか?
MW:ディフェンスは簡単ではないはずだ。ユウキはほぼ毎夜、身長にして7インチ(18cm)、体重で45パウンド(20kg)のハンデを背負うことになる。それをどう克服していくかという点が注目ポイントになり、そのためにはハートの強さが必要になる。ユウキは聡明で、クイックネスがあり、ビッグハートを持っている。サイズの不足を心配するよりも、自身にできることが重視していく方が大切なのではないかと思う。
――河村を取材し、チームメイトと交流する姿も見て来たと思いますが、その性格、キャラクター面をどう見ますか?
MW:とても外交的で、現代の若者という感じがする。どうやってアピールすれば良いのかをわかっている。笑顔を浮かべ、喜びを持ってプレイし、コミュニケーションを取ることの大切さもわかっている。オフコートでもチームメイトたちに愛されているのは見て取れる。また、メディア対応の義務も十分に理解している。日本メディア、米メディアの両方のニーズを認識していることには感心させられて来た。それらは彼のキャリアの助けになるだろう。
――昨季まで2度にわたってグリズリーズに所属した経験がある渡邊雄太と河村をどう比較しますか?
MW:エナジー、スマイル、魅力には共通点がある。どちらもバスケットボールを楽しんでプレイしたいと考えている。ユウタは6-8(203cm)の身長があり、3Pを得意とし、一定の身体能力があり、カレッジからアメリカでプレイしたおかげで十分な経験も積んでいた。グリズリーズでのプレイを始めた時からアメリカのカルチャー、プレイスタイルにはすでに慣れていた。 ユウキはアメリカに来たばかりだが、五輪でプレイした経験は助けになっているように思う。また、ボールを手に持ってプレイすることが多いユウキはチームを統率することに慣れており、リーダーシップの素養という面ではユウタより上かもしれない。