AWS、KDDIで薫陶受けた「ソラコム社長」の素顔 東大院⇒IBM⇒AWSからIoT分野で起業した理由
「ウーバーもインスタグラムもネットフリックスも、すべてAWSを使って始まった。若くてお金もないけれども、アイデアがある若者たちが自分のアイデアを具現化できて、世の中に良いサービスを作ることができる、オープンでフェアなプラットフォームを開放した」(玉川氏) 日本はもちろん、世界中でAWSが急速に普及するのを当事者として経験する傍ら、玉川氏はITの世界に新たな波が到来しつつあるのも感じた。それが、IoTだ。
国内顧客と向き合ううちに、「日本が得意な自動車や家電といった製造業で、いろいろなモノからデータをクラウドにためようと思ったときに、その通信がない」と気が付いた。モノ作りが得意で、モノのデータをDX化しなければならない日本を起点に、「AWSのIoT版」をやるべきではないか――。そんな思いが募って起業したのが、ソラコムだった。 ■収益モデル、組織にも“AWS色” AWSに着想を得て生まれたソラコムが目指すのは、「IoTテクノロジーの民主化」だ。ビジネスモデルについても、AWSの影響を受けているという。
ソラコムが柱とする収益構造は、サブスクなどから継続的な収入を得る「リカーリング」モデル。IoTに必要な機器を提供し、プラットフォームを継続利用してもらうことで、安定的な売り上げ拡大を見込める。玉川氏は「AWSのプラットフォーム提供モデルからいろいろと学んだ」と話す。 脇を固めるソラコムの幹部も、AWS出身者が多い。CTO(最高技術責任者)の安川健太氏、上級執行役員の片山暁雄氏、齋藤洋徳氏らはいずれもAWSの出身だ。
内実ともにAWSと切り離せない形で創業したわずか3年後、ソラコムは、日本の大手通信キャリアであるKDDIの傘下入りという道を選ぶ。運用期限内のエグジットを目指すファンドなどよりも、株主の意向に左右されにくい安定的な経営基盤を手にするため、ソラコムから株譲渡を持ちかけた。 KDDIという大企業グループに入ったことは、顧客との関係構築で大きなメリットを生んだ。玉川氏は「(それにより)永続的に安定してインフラを提供できる会社と認識いただいた」と振り返る。