ブドウの搾りかすからつくった天然酵母で地元特産のパンを!ワイナリーのSDGsな取り組み
コロカルニュース
サステナブルな社会にとって、フードロスは重要なテーマです。各自治体でも食材廃棄は、大きな課題となっています。 【写真で見る】小麦の風味が引きたち、ブドウの酸味がほんのり香るハードパン。 そんななか、愛知県小牧市が、地域資源を活用した産官学福連携のトライアル事業として、〈フードロス開発プロジェクト〉を立ちあげました。 地元でワイン醸造を手がける〈小牧ワイナリー〉から廃棄されるワインパミス(ブドウの搾りかす)に注目。地元のパン店、近隣の大学の学生を巻き込んで、地元特産のパンづくりをスタートしています。 ■ワインパミスから天然酵母を起こし、パンを発酵させるパン屋 「ワイン醸造の過程で、ブドウをしぼる際に発生する果皮や種を含んだワインパミスは、年間で約1トン出ています。一部は、畑に撒くなど肥料にしていますが、それ以外はすべて廃棄していました。これを地域資源として捉え、地域経済の循環に活用できないかと、小牧市の東部まちづくり推進室の担当者から提案をいただいたんです」と語るのは、ワイナリーのスタッフで、このプロジェクトの中心メンバーである芳賀俊(はがすぐる)さん。 もともと、〈小牧ワイナリー〉にパンを卸していた〈パンベル〉の店主である森友也(もりともなり)さんが、ワインパミスから、天然酵母を起してパンを製造していました。このことを市に伝えると、地元特産のパンをつくろうと話が一気に進んだそうです。 さらに、次世代の若い人たちも巻き込みたいと市から提案があり、近隣の名古屋経済大学の学生たちにも参加してもらい、栄養価に関する調査や、パンに合うレシピ開発にも挑戦したとか。 ■名古屋の中心で、スタッフ総出で販売し、手ごたえをつかむ こうして、地元産のワインパミスを酵母としたカンパーニュなどのハード系パン2種と食パン1種が完成しました。初のお披露目として、名古屋市・栄のスペースで、スタッフ関係者総出で、パンを販売。小麦の香りとほんのりブドウの酸味が感じられるパンは、大好評となり、完売したそうです。 「ワインパミスから蒸留酒ができることは知っていたので、ワインパミスで発酵させた酵母なら、おいしいパンを作れるだろうと思っていました。学生たちにも試食してもらい、若い人たちの意見を取り入れながら、搾りかすの果皮も粉末にして加えるなどの工夫もしました。いろいろな力を結集して、地元の特産品を使ったパンができたことは、すごくうれしいですね」と森さんは語ります。 ■障がい者の就労支援のために設立された小牧ワイナリー 〈小牧ワイナリー〉は、2015年4月に、〈社会福祉法人AJU自立の家〉が、障がい者の就労支援の場として開設したワイナリーです。〈AJU自立の家〉が、障がい者の働く場として、多治見修道院のワイン用ブドウ畑の栽培を委託されたことが発端でした。