「日銀が利上げ、なのに円安が進んだ…」ローンはどうなる?いまさら聞けない「金融政策」 基本から知りたい、に答えます…経済のあらゆる「モヤモヤ」、記事と音声で
「異次元緩和」とか「白から黒へのレジームチェンジ」といった言葉を見聞きしたことはありませんか。日銀が今回見直した金融緩和策は2013年に始まりました。日銀の総裁が白川方明さんから黒田東彦さんに代わり、政権運営も民主党から自民党に代わった時期です。首相に返り咲いた安倍晋三さん(故人)が「アベノミクス」を唱え、その1本目の矢として黒田さんが「大規模な金融緩和策」を実行に移しました。 日本は1990年代初めにバブル経済が崩壊した後、「失われた30年」と呼ばれる長期の景気低迷が続きました。リーマン・ショックや東日本大震災といった出来事もあり、デフレに苦しみました。そのデフレからの脱却を掲げたのがアベノミクスです。黒田さんは物価上昇率を2%にする目標を掲げ、それまでとは次元が違う金融緩和策によって2年で達成すると宣言しました。余談ですが、なぜ目標が2%なのか気になりますよね。それは主要各国の中央銀行が2%に設定しているから、いわゆる「横並び」が定説になっています。
▽「異次元緩和」から10年以上経過 ところが物価は思うように上がらず、10年以上たちました。アベノミクスの3本の矢のうち、2本目の「機動的な財政政策」と3本目の「民間投資を喚起する成長戦略」が不十分だったのが理由とされています。「デフレマインド」といいますが、モノやサービスは安い方がいいという消費者心理が根強いことも一因といわれています。 この間、日銀は「マイナス金利」や「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)」といった政策を導入しました。ただ結局は金利を低く抑えるのが目的なので、こうした手段を詳しく理解する必要はありません。 ▽住宅ローンの金利はどうなる? 2023年平均の消費者物価指数(CPI)は前年比で3・1%上昇しました。物価上昇目標の2%を大きく上回っています。物価上昇に負けない大幅な賃金引き上げが大手企業の春闘を中心に相次いだことで、日銀は政策の正常化に着手するタイミングが来たと判断し、3月19日の金融政策決定会合で、利上げとなるマイナス金利政策の解除やイールドカーブ・コントロールの撤廃を決めました。日銀の現総裁の植田和男さんは「普通の金融政策になる」と説明しました。