映画『他人は地獄だ』八村倫太郎、栁俊太郎、岡田結実、役づくりと3人の絆を語る。スペシャル鼎談インタビュー
岡田結実「演じられただけで光栄」 役との共通点について
―――各々の役柄で、自分自身と共通する部分はございますか? 八村「ユウと共通しているところは、どん底の人生を味わいながらも、下剋上精神があるところでしょうか。結構、負けず嫌いで勝ち気なところですかね」 ―――ユウというキャラクターは、鑑賞する前、弱気な青年をイメージしていたのですが、なかなかの強気キャラですよね。 八村「そう思います。あんな騒動に巻き込まれていても、何とかしようと立ち向かうんですから。でも、僕だったら、やっぱり、舞台となっているシェアハウスからは逃げますね。さすがにユウほどの勝ち気はないです(笑)」 ―――キリシマ役の栁さんは、いかがでしたか? 栁「キリシマとの共通点と言うには、語弊があるかもしれませんが、彼は、人を使ったゲームを楽しんでいるわけです。僕はもちろん、そういうことをしたことがあるわけではないのですが、人間、どこかしらにそういう願望はあるんではないかと、演じながら感じましたね。やっちゃいけないこと、最悪なことに手を染める好奇心、蓋を開けたら、誰しもこんな一面もあるんだろうなと」 ―――キリシマという人物の闇が伝わってきます。 栁「そう思ってもらえたら嬉しいです。でも、キリシマのようなことをやっては絶対に駄目ですよ(笑)」 ―――岡田さんはメグミ役に対して、いかがでしたか? 岡田「まず、伝えたいことは、あんなに愛らしい人を演じられただけで光栄だということです。自分と通じる部分と言うか、演じていてハッとしたのは、『人のことを受け止めるのと、人に流されることは違う』ということですかね。メグミはどちらの側面も持ち合わせているので、彼女の心境の変化を物語の流れの中で捉えていただけたら、幸いです」
印象に残っている撮影中のエピソード
―――その他、キャラクターに対し、自分なりに研究したポイントはございますか? 八村「大きく言うと、ユウの『動き・アクション』そのものでしょうか。これは芝居において、意識し過ぎると、悪い方向に陥ることもあるのですが、無意識のうちに動いている動作に魂を込めるとでも言うか」 栁「僕は、人を殺す役を演じる上で、例えば人をナイフで刺すやり方などをネットで調べると、その関連の動画が出てきたりとかして、結構 、落ち込んでしまうんです。当たり前ですが、今まで経験したこともないですし、もちろんしたくもないので。僕の日常では起こり得ないことを演じたわけです。そこを想像力で補うのが、役者であり演技だなと、改めて痛感しました」 岡田「私は俳優としてまだまだ経験が浅いのですが、オン・オフをどれだけなくして、役に入り込めるか、チャレンジしました。と言うのも以前、他の作品で両親が殺された役を演じた時に、私生活まで役柄のメンタルに引っ張られてしまったんですね。だから、本作では、普段の自分と役を重ねつつ、同時に距離も取る。とにかくバランスを意識しました」 ―――興味深いです。印象に残っている撮影中のエピソードはありますか。 八村「岡田さんが、トマトジュースを持ってきてくれたのは、素晴しかったです!」 岡田「ああ、そんなこと覚えていたんですか(笑) ただ、好きなブランドのトマトジュースを差し上げただけなんですが。だって、八村さん、なんかやつれていたので(笑)」 ―――それは、役作りの一貫で、やつれたのですか? 八村「いや、自然にやつれただけです(笑) でも、今思えば、ユウの心情を表す上で、良かったと思います」 栁「ああ、ホテルのシーンな」 岡田「そうなんです。数十分のホテルのシーンのために、やつれたの、凄いなと思いまして」 八村「いや、だから、ユウを演じていたら、勝手にやつれただけだよ(笑)」 栁「そういえば、倫太郎は本当に、かわいいやつでして。自分1人のシーンの撮影だと寂しいらしく、僕たちが現場に行くと、『俊太郎さーん!』って、手を振ってくるんですよ。その後、俺に殺されそうになるシーン演じるのに(笑)」 ―――その辺の感覚って、俳優さんならではかもしれませんね。 八村「それこそ、撮影の合間には、血ノリが付いたまま、食堂で一緒にご飯食べていますからね。血ノリが落ちないように注意しながら(笑)」 ―――まるで3兄妹のような仲の良さが伺えます。 八村「ええ、仲いいですね、本当に」 ―――さて、本作はシェアハウスが舞台なわけですが、皆さまは、シェアハウスに住んだとしたら、隣人と仲良くなれると思いますか? 八村「う~ん、コミュニケーションを取りに行くとは思います。なんか、学生のころのクラス替えみたいな、感覚と一緒かもしれないと想像します」 ―――八村さんは基本的に、社交的ですね。 八村「いや~、やっぱ、誰かと喋らないと寂しいじゃないですか~」 栁「それを、社交的と言うんだよ(笑)」 ―――アハハ! 他人を信用・信頼する上で、基準はありますか? 八村「基準と言うか、自分の大切に思っているものを同じように大切にしてくれる人は、素敵だなと思いますし、好きですね」 栁「僕は、それこそ、キリシマのようなヤバイやつだったら、当たり障りないように接します。いや、彼のようなやつじゃなくても、トラブルに巻き込まれたくないので、シェアハウスなどでは関わりはしないでしょうね(笑)」 ―――キリシマとは、真逆ですね(笑)。岡田さんはいかがでしょうか? 岡田「まず、個室だったとしても、共有スペースがあるシェアハウスに住むという選択肢がないのが、本音です(笑)。今も1人暮らしなのですが、たとえ、恋人や仲のいい友達だとしても一緒に住みたくはないんですよ。ただ、人のことを信用するポイントとしては、私は自分のことを他人に委ねたくはないんです。自分の軸で考えて、自分が好きだと思ったら信用できる人だなと思っています」 八村「さすが! それ、僕も言いたかったことだ」 栁「ほんとか(笑)?」 (取材・文/ZAKKY)
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