加藤和樹×高田夏帆の“名カップル”がさらにラブラブ!? 舞台『裸足で散歩』大阪で開幕!
ブロードウェイを代表する劇作家、ニール・サイモンが1963年に発表した舞台『裸足で散歩』。1960年代のニューヨーク、冬本番の2月に古いアパートの最上階に引っ越してきた新婚夫婦を中心に繰り広げるラブコメディーで、2022年には加藤和樹を主演に迎えて東京、大阪をはじめ6都市で上演。各地で大好評を博し、この秋、9月27日(金)からの大阪・サンケイホールブリーゼ公演を皮切りに、17都市をめぐる全国ツアーを開催する。 まじめを絵に描いたような夫ポールの加藤、天真爛漫で自由奔放な妻コリーの高田夏帆、アパートの屋根裏部屋に住むヴェラスコの松尾貴史、コリーの母であるバンクス夫人の戸田恵子という配役はそのままに、今回は電話会社の男に福本伸一が初参加し、新たな風を吹かせる。 殺風景な二人の新居に、コリーが颯爽と現れる場面から物語は動き出す。続く電話会社の男、ポール、バンクス夫人は息を切らしながら階段を上がって来る。この対比がすでに彼らの先行きを暗示しており、コリーの溌剌としたチャレンジ精神がポールたちを巻き込んでいく。一方、そんなコリーと意気投合するのが、登場から強いインパクトを与えるヴェラスコだ。友情を育むだけあって、彼女の奔放さにはびくともしない。その頼もしさは、物語が進むにつれてじわじわと沁みてくる。 コリーに振り回されつつも顔色一つ変えず、まじめに応対する姿におかしみがにじみ出ている加藤。前回に増してポールを楽しんでいるように見え、時おり繰り出すツッコミも生き生きしている。高田は立ち振る舞いがぐんとナチュラルになり、コリーという女性の解像度を一段と上げた。戸田は何気ない言動でスパイスを効かせ、問答無用のコメディエンヌぶりを惜しみなく発揮する。1980年代にコリーを1年以上、演じた経験があるという戸田。そんな歴史の妙も面白い。松尾は謎に満ちたヴェラスコを変わらず怪演、コリーとはまた異なるベクトルで登場人物を翻弄する。そして福本伸一は電話工事にとどまらず、しっかりと爪痕を残してポールとコリーの部屋を後にする。 翻訳の福田響志のセンスも光る。彼の言語感覚で軽々と時空を超え、今の物語となって歩み寄る。また元吉庸泰の演出が加わり、観客は軽快な会話のラリーにすっと乗ることができ、その世界へと没入。凍てつく寒さ、どこまでも続くような階段の息苦しさ、ヴェラスコお手製の謎の食べ物の味など、ポールやコリーらと同様に体感している気になってくる。 夫婦、親子、隣人と、一つの部屋を介して醸成されていく人間関係。彼らのユーモラスなやり取りを観るうちに、不思議と心に温もりが広がってくる。 公演は全国で開催。チケット発売中。