熱中症対策と大容量化の先駆者 「ポカリスエット ボトル」1985年4月1日発売【食品産業あの日あの時】
コンビニの店頭で“止渇系”と呼ばれる飲料の棚が充実する季節だ。近年は熱中症対策の重要性への理解が進んだことなどから、1人用の飲料は大容量化の一途をたどっている。伊藤園の「健康ミネラル麦茶」(670ml、コンビニ限定)を筆頭格に、現在各社が販売するペットボトルの麦茶は軒並み600mlを超えている。サントリーは今年5月、従来家庭用として販売していた「サントリー天然水」1Lペットボトルを“パーソナル大容量”として細身のボトルに刷新した。 【画像】ポカリスエット 1985年570mlボトル ポカリスエット リターナブル瓶 250ml
日本の消費者はいつから大容量の飲料を求めるようになったのか。その端緒を探ると、1985年4月1日に発売された大塚製薬の「ポカリスエット ボトル」(570ml)にたどり着く。「ポカリスエット」はもともと点滴剤で国内トップクラスのシェアを誇る大塚製薬が1980年に発売した飲料だ。 当時米国で流行の兆しを見せていたスポーツドリンクに着想を得つつ、あくまで「日常生活の中で失われる水分と電解質を補給する“イオンバランス飲料”」として開発された。当初はコンセプトが理解されずに苦戦したが、同社は初年度だけで3000万本という大規模サンプリングを通じてその特徴を説明し続け、次第にファンを増やしてゆく。 すると翌1981年4月、入院中だった俳優の石原裕次郎が手術直後に、兄の石原慎太郎が「弟はポカリなんとかというのを飲んだ」とマスコミに明かしたことで、そのブランドが一気に世間に浸透する。以降各社からも「ゲータレード(雪印乳業)」「クイッククエンチ(ロッテ)」「NCAA(サントリー)」といったスポーツドリンクが続々投入されたが、結果として“日常生活での水分補給”を訴求する「ポカリスエット」の独自のポジションが際立つ形に。1983年、清涼飲料最大手の日本コカ・コーラが「アクエリアス」(250ml)を投入した際には小売価格を120円から100円に下げて対抗し、シェアを守った。
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