なぜ阪神のノイジーは4安打&全打席出塁でカープ戦の逆転勝利に貢献できたのか…実践し始めた岡田監督がキャンプイン前夜に伝えた“教え”…虎が2023年優勝型チームに戻ってきた
球団は当初ノイジーを1年限りで解雇する方針だった。守備力はあるが、レギュラーシーズンの成績は、133試合、打率.240、9本塁打、56打点で、推定1億8000万円の年俸からすれば、あまりにも物足りない数字だった。岡田監督も残留をフロントに訴えることもしていなかった。 だが、日本シリーズでは第6戦で現在ドジャースの山本由伸から先制ホームランを放ち、第7戦では、0-0で迎えた4回一死一、二塁で宮城大弥からまたしても先制3ラン。38年ぶりの日本一を引き寄せる価値ある一撃で残留アピールに成功した。岡田監督は山本と対峙した第1戦の5回に無死二塁からノイジーに初めて右打ちのサインを出したが、それに応えてライトへ深いフライを放ち、タッチアップで走者を三進させた。岡田監督は、この進塁打を評価して、フロントに具申し、一転、残留方針が固まった。ただ条件をつけた。減俸と打撃改造。寝かせて構えているバットを立てることを条件にしたのだ。 しかし、2月の沖縄キャンプの前日に両者が話し合った際にノイジーは「メジャー時代にそれで打てずにクビになったトラウマがある」として、バットを立てて構えることを拒否した。 岡田監督は、こう説いた。 「バットを寝かせて構えてもええんよ。問題はテイクバックでトップの位置に入るときに立たせておく必要があるということ。そうしないとヘッドが立たず、ボールを下から叩くことになってゴロやポップフライしか飛ばんよ」 ノイジーは、その説明に納得したそうだが、キャンプ、オープン戦と通じて、あまり変化は見られなかった。一方で結果を出し続けていた前川を岡田監督が開幕スタメンに抜擢したのも当然だった。 だが、ここにきてノイジーに変化が出てきた。 阪神OBの評論家は、「ヘッドが立ち、バットが最短距離を通って上から出るようになっている。しかも強引に引っ張ることはなく、センターから右方向の打球を意識してコンパクトにスイングできるようになってきた。長打は期待できないが、これだけチャンスをつなげることができるなら軽打でいい」と分析した。 テイクバックの際に、しっかりとバットが立ち、ヘッドが立った状態でスイングができるようになってきたのである。“岡田の教え”を実践できるようになったのが好調の理由と言っていい。 ついに打率は.303に乗った。1本塁打、6打点は、まだ期待に応えているとは言えず、ホームランの怖さがないのも、物足りないが、“マシンガン”のノイジーもいいだろう。 あとは、スタメン復帰した佐藤の目覚めを待つだけ…。この日は最終打席にレフト前ヒットは打ったが、ボール球に手を出す悪い癖はまったく修正されていなかった。