「すみません。片方の玉がタマネギくらい大きくなって…」爆笑問題・田中裕二を襲った2つの病魔《タイタン太田光代社長が語る》
タイタン社長の太田光代氏が、爆笑問題がデビュー以降に経験してきた紆余曲折を振り返る。 【画像】田中の睾丸摘出手術について語る太田光代氏 ◆◆◆
突然の腫瘍発見
たまに太田は田中を見て「よくあんなに元気にしていられるよな」と漏らすのですが、田中はときどき病気で体を壊すのです。歳を重ねるにつれ、洒落にならないような“コンビ消滅”の危機に直面することも増えていきました。 シドニーオリンピックがあった2000年のこと。私たちは年に1回、3人一緒に人間ドックを受ける習慣があって、その年も一緒に同じクリニックに足を運びました。 ただ、いつもと様子が違ったのは田中に「追加検査」の指示がでたことです。加えて、どこか悪いところはないかと問診で尋ねられてもはっきり答えない。私が直接、田中に聞いても「別に体に違和感なんてない」という。 やがて所定の追加検査が終わり、「また気になることがあったら来てください」とお医者さんが告げます。すると、田中はついに観念して言ったそうです。 「すみません。実は片方の玉がタマネギくらい大きくなってまして……」 検査でも問診でも言えなかったのは、睾丸の異常でした。あとで「検査結果が悪かったの、絶対タマが原因じゃん!」と問い詰めましたが、田中は「だって、なかなか言いにくくてさ」と下を向いて恥ずかしそうにしていました。 笑いごとでは済まなかったのが、検査結果です。田中の精巣の肥大化の原因は「切除必須の腫瘍」と診断されたのです。すぐに睾丸摘出手術を受けることになりました。田中はしばらく仕事と並行しての治療生活を強いられたのです。 私も太田も最初はショックでしたが、仕事に穴をあける以上、世間に対して公表しないといけません。私は田中のプライベートにも考慮した形で病状を発表することに決め、術後に行う記者会見は、太田に任せることにしました。 いよいよやってきた会見の日。重症説が水面下で飛び交っていたこともあったのか、会場には深刻そうな表情の記者たちが続々と集まっていました。 太田はマイクを握って、第一声。 「田中が“金”取ったー!」 その場にいた記者さんの緊張からの緩和もあって会場は大爆笑に包まれました。 摘出手術をネタにしたことへの苦言も一部の医師からいただきましたが、精巣腫瘍が悪化する原因は「恥ずかしがって検査に行かないこと」。田中が公表したことで、「気になっていたけど思い切って検査を受けた」という声がたくさんタイタンに寄せられることになりました。睾丸が腫れたらすぐに病院に行ってほしい。今でも爆笑問題が「カタタマ」をいじるのはそんな思いがあるからです。 田中の大病はこれだけではありません。2021年1月20日、ふたたび命に関わるような大病を患うことになりました。 タイタンライブが控えていたこともあり、その日の田中は太田とのネタ合わせを終え、遅くに帰宅しました。その日の深夜、騒動が起こったのです。 彼の妻になったタレントの山口もえちゃんから電話がかかってきました。時刻は午前2時。私は半分、寝ぼけながら電話に出たことを覚えています。