ツアーファイナルで錦織が“死のグループ”を勝ち抜く条件とは?
1、3、5、7――。 これは11月13日に開幕する“ATPツアーファイナルズ”で、錦織圭が入ったグループに名を連ねる4選手のランキングである。 11か月以上に及ぶ長いシーズンの掉尾を飾るこの大会は、年間レース上位8選手のみが立つことを許される、正に選ばれし者たちの舞台。ATPが「選手のあらゆる要望に応じ、5つ星の上を行く6つ星対応の大会」だと自負する晴れのステージに、今年も錦織は世界の5位として堂々帰還した。2014年の初出場以来、これが3年連続での参戦である。 テニスの大会は通常トーナメント戦だが、世界の“エリート8”のみで競われるこの大会は、そのフォーマットも他とは趣を異にする。選手たちは総当たり戦で競われる2つのグループに分けられ、各グループの上位2選手が準決勝に進出。そのグループ編成は、出場選手をシード順で1位と2位、3位と4位……とランク分けし、各ランクの選手が異なる組に入るよう抽選で振り分けることで、公平性が保たれる。ところが冒頭で述べたように、今年は各々のランクの上位選手が一つに固まるという“グループ格差現象”が起きた。すなわち5位の錦織は、この強者が集う“死のグループ”に入ったのである。 テニスの世界では、ランキングが必ずしもその時々の実力を反映する訳ではないが、今回に限っては現在の勢い等を加味しても、錦織の対戦相手たちは揃いも揃って好調だ。 世界1位のアンディ・マリーは、この約1カ月は負け知らずの4大会連続優勝中。先週のパリ・マスターズを制したことで、ついに悲願の世界ランキング1位にも座した。 3位のスタン・ワウリンカは、直近のグランドスラムである全米オープン優勝者であり、何より“ザ・ビッグマッチ・マン”と称されるほどに大舞台や強者相手の強さを誇る。そのことを顕著に物語るのが、2013年以降ツアー決勝を12回戦い、うち11勝を手にしている実績。ツアーファイナルズには過去3回出場し、その全てでグループ戦を勝ち抜いていることも“大舞台に強い男”の定評を裏付ける。 そして7位のマリン・チリッチだが、こちらは8月のシンシナティ大会決勝でマリーを破り、マスターズ初戴冠。その後も10月のバーゼル大会決勝で錦織を破り、先週のパリ・マスターズではジョコビッチを撃破するなど、いま最も勢いのある選手の一人である。