熊は高さ2mのトタンを巻いた木には登れない?ごちそうの柿を目当てに人里に出没 “傷つけない熊よけ”につながるか検証中 警戒エリアで
長野県飯山市と県北信地域振興局(中野市)は25日、柿の木に熊が登れないよう幹にトタンを巻く作業を市内で行った。柿の実は熊を人里に呼び寄せる一因となっており、人身被害を防ぐ狙い。現場にカメラを設置して熊よけの効果を検証し、この対策を地域に普及させるかを検討する。 【写真】熊の爪を傷つけないような仕上がりに
県が北信地域などに「ツキノワグマ出没警報」を出したことを受けて実施を決めた。同市の顔戸(ごうど)区では、爪痕が残っているため熊が毎年登っていると分かる山際の柿の木を選定。市や県の職員ら5人が、高さ2メートル10センチのトタン板を重ねて太い針金で縛り、幹に巻き付けた。針金は縛る方向を工夫し、熊の爪がひっかかりにくいようにした。
市農林課によると、今年4~9月に市に寄せられた熊の目撃や足跡などの情報は120件超。熊を寄せ付けないためには柿の木を伐採する他、実を放置せず収穫することも有効だが、所有者らの負担が大きい。トタン板を巻くのは比較的取り組みやすく、効果が確認できれば、地域への周知に力を入れたい考えだ。
顔戸区では今夏、集落内のスイカ畑が夜間に熊の被害にあったという。作業に参加した区長の栗岩明浩さん(68)は「木にトタンを巻くことで、熊が人里に寄ってくる理由がなくなればいい」と期待していた。