「売春は怖いっちゃ怖いけど...」違法と知りつつ"立ちんぼ"やめないのはなぜ?客待ちする29歳女性に聞くと「交渉成立すれば別にいい。もっと悪いやつを捕まえればいいのに」 大阪・キタ
心理学を用いた“客待ちしにくい路地”とは?
取り締まりをしても一向に無くならない“立ちんぼ”。大阪府警と警察庁の心理学のスペシャリストらがタッグを組み、新たな対策を打ち出した。 (科警研・犯罪予防研究室 島田貴仁室長)「今回行う介入の基本的な考え方は、環境デザインによる犯罪予防」 対策では路面を黄色く塗ったり絵を貼ったりして、客待ちをしにくくさせるという。一見、大きな変化ではないように感じるが、行動経済学の「ナッジ理論」に裏付けされた対策だ。 ナッジ理論とは、行動を強制するのではなく無意識のうちにその行動を取るよう、背中をそっと後押しする行動理論のことだ。例えば、コンビニのレジの近くなどに足跡のマークを描いておくと自然とその場所に列ができる。また、男子トイレの便器に的を描いておくことで、床の汚れが軽減される。 兎我野町の対策でもナッジ理論を活用。路面を派手な黄色にするのはその場に留まりにくい雰囲気を作り出す狙いがある。また、路面には魚を描いた複数の絵も貼られる。人間の追いかけたくなる心理を利用し、魚の絵をたどっていくうちに自然と路地から出ていく効果が期待できるという。 (科警研 島田貴仁室長)「場所へ介入することで問題が改善できる可能性があります。客待ちだとか交渉だとか、連れ出しを困難にさせることができる」
再発防止のために行政機関につなげる取り組みも
また、警察はこの場所からの排除だけでなく再犯を防ぐ対策にも力を入れる。 (大阪府警曾根崎署 北川龍生活安全課長)「(逮捕した女性の)申し出があれば全国の女性相談センターにつなぐ、一歩踏み込んだ対応というのも、曽根崎署ではやっていきます」 兎我野町を管轄とする曽根崎署は逮捕した女性が釈放された後、希望があれば警察の車で生活支援を行う行政機関まで送り届ける取り組みを始めた。
路上に立つ女性は減少…しかし話を聞くと
そして、12月。通りが100mにわたり黄色く塗られた。そして、ナッジ理論に基づいてデザインされた10枚の魚の絵が通りの入り口から出口まで誘導するような形で貼られた。建物に囲まれていて昼間でも薄暗かった路地が明るい雰囲気へと生まれ変わった。 (科警研 島田貴仁室長)「この取り組みが、路上客待ちの問題が大都市どこも今起きている中で、少しでも問題解決につながってほしいと思っています」 翌日の夜、再び通りを訪れてみると、路上に立っている女性は数人みられたが、確実に数は減っていた。ただ、女性たちに話を聞いてみると… (女性)「(路地が)明るくはなったね。反射するから黄色が。(女の子たちは)天王寺とミナミに流れたらしいね、メインが」 (記者)「やめることはない?」 (女性)「やめることはないね、みんな」 大阪の繁華街から消えない“立ちんぼ”。問題解決に向け試行錯誤が続く。 (2024年12月18日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『特命取材班スクープ』より)