定年退職をして収入が大きく減ったのに、住民税は「15万円」でした。働いていなくてもこんなにかかるものなのでしょうか?
定年退職後に再雇用や再就職をしない場合、収入が大きく下がるケースがあります。しかし、住民税が定年退職前と変わらないことから、支払いが難しくなる方もいるでしょう。 住民税は前年の所得を基にしているため、現在の収入が低くても状況によっては負担が重くなる場合があり、注意が必要です。今回は、住民税の決まり方や住民税額の例などについてご紹介します。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
住民税額は前年の所得を基に決められる
金融広報中央委員会によると、住民税の金額は前年の所得から計算され、当年の6月から翌年5月の12回に分けて納税します。そのため、退職前の年収が高く、退職後に再就職などもしていない場合は、現時点での収入に対して住民税の負担が大きくなるでしょう。 なお、退職をした年の住民税は、退職時期に応じて支払い方法が異なります。もし6月~12月に退職をした場合は、退職後に市区町村から納税通知書が送付されるため、自分で納税が必要です。1月~5月に退職をすると、退職時に会社が一括徴収をして本人の代わりに納付をします。 ただし、6月~12月に退職をするケースでも、希望すれば会社に一括徴収で納付してもらうことも可能です。もし一括徴収をしてもらいたいときは、納付忘れを防ぐためにも事前に会社へ連絡しておきましょう。
退職前が年収360万円だったときの住民税額
今回は、以下の条件で住民税の金額を計算しましょう。 ・60歳で定年退職(社会保険料に介護保険料を含む) ・東京都在住 ・退職する前の年の年収は360万円 ・賞与は考慮しない ・控除は社会保険料控除、給与所得控除、基礎控除以外は考慮しない ・健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料は全国健康保険協会の「令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)」の金額 条件を基にすると、退職する前の月収は30万円です。この場合、健康保険料と介護保険料が月額1万7370円で年に20万8440円、厚生年金保険料は月額2万7450円で年32万9400円になります。雇用保険料が年に2万1600円のため、年間の社会保険料は合計55万9440円です。 年収360万円のときの給与所得控除は「360万円×30%+8万円」で求められるため、116万円になります。年収から社会保険料控除と給与所得控除の合計171万9440円を引いた188万560円が住民税の計算に使う金額です。 住民税の基礎控除は43万円なので、基礎控除を引いた145万560円に対して税金が課されます。また、住民税の税額は「課税金額×10%+5000円(東京都の住民税均等割)」で求められるため、今回のケースだと住民税額は15万56円です。