「かかし神社」修復を 鳥居崩壊の中能登・久氐比古神社 有志、クラファンで資金募る
●全国で唯一、主祭神に 全国で唯一、田畑を守る「かかし」を主祭神とする中能登町久江の久氐比古(くてひこ)神社が能登半島地震で被災し、住民有志が鳥居などの修復に乗り出した。2007年の地震に続く2度目の被害で、区の財政難からクラウドファンディング(CF)で資金を募る。返礼品には特産化を目指すメロンや米などを用意し、逆境をチャンスに変えて区の知名度向上につなげる。 同神社は古事記に登場し、田の神や学業・知恵の神と伝わる一本足の神「久延毘古(くえびこ)」をまつっている。近年は「かかしの神様」を信仰するユニークな風習を町おこしに生かすため、かかし作り体験のツアーを実施したり、気温や風速などを自動で測定する「デジタルかかし」を設置したりしている。 神社は千年以上の歴史があるとされ、今回の震災で1922(大正11)年に建てられた重さ14トン、高さ6メートルの鳥居や灯籠、こま犬などが倒壊した。前回の能登半島地震では本殿や拝殿が被害を受け、修復には約3千万円を要した。このため、区の財政状況が厳しくなり、インターネットを活用したCFで広く善意を募ることにした。 ●返礼は特産品 寄付者に贈る返礼品には、区で栽培するメロンや栄養豊富な久江川の水で育てた「能登かかし米」などを設定した。再建した鳥居や神社の拝殿内に自分の名前を掲載することもできる。15日から目標金額600万円で募集を始め、19日現在で約240万円が集まった。 氏子総代会長の大湯栄伸区長(72)は、区の活性化のために神社の再建は不可欠であるとし「多くの支援をいただき、シンボルである神社を後世に長く残していきたい」と話した。