yummy’g、アスノポラリス、OKOJO、Subway Daydreamそれぞれの音楽とポップネスを真摯に追求する4組が集った『Grasshopper WEST vol.4』ライブレポート
冬の訪れを忘れさせるような、軽やかな暖気に満ちた2024年11月13日、アメリカ村 BEYONDにて『Grasshopper WEST vol.4』が開催された。『Grasshopper』は、インディーシーンの聖地下北沢にて、チケットぴあが注目する、次世代音楽シーンを担うアーティスト同士による対バンイベント。その関西編として行われる『Grashopper WEST』の第4回は、yummy’g(O.A.)、アスノポラリス、OKOJO、Subway Daydreamと、それぞれの音楽とポップネスを真摯に追求する新進気鋭の4組が集った。そして会場には幅広い世代の音楽好きが集まり、彼らの飛び立つ瞬間を見届けた。 【全ての写真】『Grasshopper WEST vol.4』の出演者4組(全20枚) Avril Lavigne「He Wasn’t」をSEに登場したのは、オープニング・アクトにして本日最年少バンド、yummy’g(ヤミージ)。USインディーロックのゴキゲンなサウンドを思わせる、緩急のついた重厚感のあるバンドサウンドとポップなメロディが中毒性バツグンである。 ベースのARISAが前に躍り出て始まった「boooom」。結成から一年とは思えないほどのグルーヴィなベースラインと跳ねるドラム、痛快なギターサウンドの完成されたサウンドと、エネルギー漲るASUKAの歌声に、早速オーディエンスも拳を突き上げる。 続いて間髪入れずに始まった「Monster」ではキャッチーなサビのメロディを武器に、yummy’gの世界へとジリジリと会場を引き込んでいく。 「O.A.という機会をいただけてうれしいです!」「今日のイベントが良くなるか否かはyummy’gにかかっていると思うんで、全力でやっていきます!」というガッツ溢れるMCからなだれ込むように、バンドの自己紹介とも言えるキラーチューン「I am」へ。 続くUSウェストコーストライクなミドルテンポの「Switch」では、ASUKA(vo/g)とARISA(b/cho)の息のあったコーラスワークが光る。 そしてと も(ds)の刻む小気味良いクローズリムとARISAの伸びやかなベースから幕を開ける、ラストの「charge!!」へ。サビでのARISAの「BEYONDいけますか!」の声に腕を突き上げて応えるオーディエンス。トップバッターに相応しい爆発力溢れる演奏は、今日のライブの成功を高らかに告げるようであった。 続いてステージに上がるのは、今回唯一の広島からやってきたアスノポラリス。「自信のない日々にそっと寄り添う音楽」をコンセプトに、熱量のあるバンドサウンドを貫くようなハイトーンな歌声で、の落岩勇弥(g/vo)が暖かい詞を抒情的に歌い上げるバンドだ。 落岩の爪弾く、柔らかなアルペジオから幕を開けたのは、そんな彼らのコンセプトを体現したかのような優しくも力強い、エモーショナルな一曲「銀木犀」。 続いて「大阪調子どうですか!」というMCから始まったのは、疾走感溢れるイントロからシンガロンが響く、終始ブチ上がりのキラーチューン「たまに間違える僕たちは」。「楽しみに来たんだろ!?」という落岩のアジテーションに呼応して次々に上がっていくオーディエンスの拳に、バンドの演奏もギアが上がっていく。 温まったフロアを四つ打ちのダンサブルなビートで踊らせ、ギターを掻き鳴らし高らかに歌い上げる「あの日のまま」では、きょーへい(g)のカッティングとオクターブを基調とした軽やかなギターソロが白眉。 「今日はGrasshopper、バッタの日なんで、ぴょんぴょん跳ねてさ、上に上に登り詰めていこうっていう日。今日が一番高いところが見えますように」という落岩の言葉から始まったのは、祈りのようなロマンチックな歌詞が優しく胸に沁みる「言えない」。オーディエンスのクラップが響き渡る暖かな空間を創り上げた。 そして《夢を見ているうちはまた会う日までさよならだ》という歌詞が切なくも心を優しく照らしてくれる「あの夏」を披露し、オーディエンスの心と耳を逃さずしっかりと掴んでいく。 「何か試練を越えるたびに新たな試練がやってくるけど、たまには休ませてくれよって思うけど、ここまで辿り着いたのならそれがすべて、忘れちゃいけないことちゃんと覚えておいて、忘れたくない日をずっとずっと覚えておいて」というMCから《だんだん歳をとってしわくちゃになっても良いのさ》という歌詞が寄り添ってくれるラスト「だんだん」へ。 「水曜日のド平日からライブハウスに集まってくれるあなたたち、俺たちはあなたを全力で楽しませるので、あなたたちも僕らを楽しませてくださいね」という落岩の言葉を体現するように、フロアと一体になったライブを繰り広げた。
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