yummy’g、アスノポラリス、OKOJO、Subway Daydreamそれぞれの音楽とポップネスを真摯に追求する4組が集った『Grasshopper WEST vol.4』ライブレポート
DNCE「グッド・デイ」で入場したのは3組目OKOJO(オコジョ)。可愛らしいバンド名とは裏腹に、切なくも暖かいラブソングを息の合った演奏と共に熱く歌い上げる。 痺れるようなギターリフで幕を開ける「ラブソング」では早速オーディエンスのクラップが会場に響き渡る。真摯に愛の唄を歌い続けるOKOJOの代名詞と言えるような一曲だ。サポートメンバー・えぬがギターをこれでもかと弾き倒し、会場の熱量を否応なしに高めていく。 続く2曲目はイントロのテクニカルなギターフレーズと折に触れて打ち出されるカッティングが印象的な「サイチェン・マイフォーチュン」。サイチェンとは中国語で「さようなら」という意味。夏の終わりと共に訪れる愛する人との別れを甘く切なく、ダンサブルに表現する。続いての「最高なラブソング」では、ヤマト(ds/cho)の刻む四つ打ちとえぬのカッティングが絡み合い、心地よくフロアを揺らしていく。 続く「ええんやけど」はスロウなバラード。関西弁で綴られることでより心の柔らかい部分に染み込んでくる歌詞とメロディと泣きのコードに、オーディエンスもじっと聴き入る。 ヤマトのほろ苦い恋のエピソードからの「なりゆきまかせ」では、冒頭よりオーディエンスの拳も上がる。四つ打ちのビートが切なさを加速させていく中で、確実にフロアのボルテージも上がっていく。 そして「またライブハウスでお会いできることを楽しみにしています」という言葉から、ラストの「遮二無二に恋しない」へ。 跳ねるベースラインとドラムの刻みがガッチリと噛み合い、揺れ動く心と、それでも進んでいく時間の物語を進めていく。彼らの演奏に聴き惚れるオーディエンスの様子が特に印象的なステージだった。 そして今回トリを務めるのはSubway Daydream(サブウェイデイドリーム)。キャッチーなボーカルとドープな音楽愛に溢れた楽曲が絶妙なバランスで混じり合う、タイムレスな輝きを放つバンドだ。 早速一発目から、フロアをドライブさせる「Stand By Me」を投下。たまみ(vo)の「Grasshopper行きましょう!」の声に呼応するように熱量を高めていくフロア。更にそれに呼応するようにメンバーたちのシンガロングが一体感を高めていく。続く「ケサランパサラン」はギターポップへの憧憬が眩しい一曲。キュートなサビの《ケサランパサラン》のフレーズは思わず口ずさんでしまう中毒性を秘めている。アウトロではキュートなこれまでのキュートなポップネスから一転、ツインギターのユニゾンフレーズとスイッチングしたハイテンポなビートで畳み掛け、オーディエンスのボルテージも早速マックスに。 高まったボルテージもそのまま、イントロの凶暴なスネアの乱れ打ちとギターフィードバック、そしてたまみ(vo)の《Are you ready? Mad honey!》 のキュートなフレーズが印象的な「マッドハニー」へ雪崩れ込んでいく。90’sグランジ愛が炸裂したヘヴィなサウンドで、音楽好きのオーディエンスの心もガッチリと捕まえ、踊らせていく。 続いてはローの効いたベースラインと広がりのあるギターサウンドでフロアにクラップを生み出す「Teddy Bear」。きらびやかな照明と呼応し、フロアをドリーミーな世界に染めていく。 たまみの「一緒に皆で前に進んでいけるように、ここで一生懸命歌わせていただきます」という言葉から、果敢に同期を取り込み、一歩を踏み出した楽曲「kiosk」へ。等身大の生活と葛藤を描く一曲で、オーディエンスとの心の距離をグッと縮めていく。 続いてたまみがアコースティックギターを抱え始まったのは「Timeless Melody」。幾重にも重なるエバーグリーンなメロディラインが心地よくオーディエンスの身体を揺さぶっていく。 「最後まで居てくれてありがとう!」という感謝の気持ちから、最後はバンドきってのアンセム「Radio Star」へ。サビでは《Radio Star》のコールがフロアに響き渡り、今日の多幸感に満ちたライブを象徴するかのようであった。 そして鳴り止まないクラップを受け、アンコールで披露されたのは、藤島雅斗(g/vo)とたまみのツインボーカルがバックビートをヒートアップさせていく、文句なしのキラーチューン「Freeway」。 ライブを観ていてこんなにもメンバーたちの「音楽が好きで仕方がない!」気持ちがビシバシ伝わってくるバンドもそうそういない。そんな気持ちがフロア全体にも伝播していくような、多幸感溢れるステージであった。 全4バンドが、それぞれの音楽とポップネスを真摯に追求し、オーディエンスと時を共にした3時間。才能ある新進気鋭のアーティストたちがGrasshopper(=バッタ)のように勢いよく飛び立てるようなイベントにしたい!という思いの込められた本企画をきっかけに、これからもまだ見ぬアーティストが高く高く飛び立つ様を沢山の音楽好きたちに見届けていってほしい。 Text:伊藤博明 <公演情報> 『Grasshopper WEST vol.4』 2024年11月13日 アメリカ村 BEYOND 出演:yummy'g(O.A.)/Subway Daydream/OKOJO/アスノポラリス 【セットリスト】 ■yummy’g(O.A.) 1. boooom 2. Monster 3. I am 4. switch 5.charge!! ■アスノポラリス 1. 銀木犀 2. たまに間違える僕たちは 3. あの日のまま 4. 言えない 5. あの夏 6. だんだん ■OKOJO 1. ラブソング 2. サイチェン・マイフォーチュン 3. 最高なラブソング 4. ええんやけど 5. なりゆきまかせ 6. 遮二無二に恋しない ■Subway Daydream 1. Stand By Me 2. ケサランパサラン 3. マッドハニー 4. Teddy Bear 5. kiosk 6. Timeless Melody 7. Radio Star EN. Freeway <次回公演> 『Grasshopper vol.28』 12月9日(月) 東京・下北沢DaisyBar 開場18:30 / 開演19:00 出演:Cloudy / komsume / マママ・ダ・マート
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