大人で「発達障害」が疑われる人の行動・兆候とは? 診断までのプロセスも解説
発達障害の診断は?
編集部:自分や配偶者が「発達障害かな?」と思ったらどうしたら良いのでしょうか? 酒井先生:まずはお近くの医療機関に相談してください。その際、大人の発達障害について診断や治療をしている医療機関かを事前に確認してから相談するとスムーズです。自治体の保健センターなどで相談窓口を設けているところもあります。 編集部:医療機関ではどのようなプロセスを経て発達障害と診断されるのでしょうか? 酒井先生:大人の発達障害は多くの場合、問診や心理検査、行動観察などを通じて診断されます。問診の際は、家族歴や子どもの頃に経験した社会的な困難などを聞き、診断の参考にします。 編集部:発達障害と診断された場合、どのようなことが行われるのですか? 酒井先生:お薬や環境の調整、サポート、あるいはサプリメントなど、その人に合った治療方法を提案しています。とくに社会人の場合は、職場環境の調整がとても重要になってきます。 編集部:最後に、Medical DOC読者へのメッセージをお願いします。 酒井先生:発達障害と診断されないまま大人になり、困難を抱えながら生活している人が潜在的にたくさんいると言われています。発達障害と診断されていても幸せな人生は送れますし、そのためのサポートやアドバイスができる医療機関もあります。 また、今でも多くの研究が進められており、今後画期的な治療が開発されるかもしれません。発達障害は、闘って克服するものではなく、うまく付き合っていくものです。 適切な医療機関に相談することで、そのサポートも受けられますので、何かしらの生きにくさを感じている方は、一度検討してみてもいいと思います。
編集部まとめ
大人の発達障害は、周囲の理解と適切な支援が不可欠で、できるだけ早期に専門家に相談することで、日常生活や職場での困難を軽減することができるとのことでした。 現在、生きにくさを感じながらも1人で頑張っている人は、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
【この記事の監修医師】 酒井 和夫 先生(ストレスケア日比谷クリニック) 東京大学文学部、筑波大学医学群医学類を卒業後、長谷川病院を経て平成8年にストレスケア日比谷クリニックを開業。現在に至るまで、院長として精神科の一般臨床に携わる。精神医学、心理学に関する著書も多く、独協大学・筑波大学など、数か所の大学においても非常勤講師として精神保健一般についての講義を行っている。医学博士、日本精神神経学会精神科専門医・指導医、日本医師会認定産業医。
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