年間478本「番組出演本数ランキング」4位に上り詰めた意外な芸人 きっかけは「ラジオ」だった
芸人としては逆に新鮮
平子の最大の特徴は、無理をしない自然体のスタイルだ。悪い意味でのこだわりやプライドを見せずに、番組に合わせてフラットな視点で淡々と語るその姿が、芸人としては逆に新鮮だと感じられるようになった。 平子は、真面目な口調で普通の話をしていても、どこまで本気でどこまでふざけているのかわからず、独特のおかしみが出てくるようなところがある。その芸風を確立したことで、テレビタレントとしてのポジションを見つけた。 ここ数年の間に、テレビで求められるキャラクターの傾向も変わった。誰かをからかったり、芸人同士でぶつかって言い争いをしたりするところから生まれるような笑いがあまり求められなくなり、空気を和らげるような優しい笑いが求められるようになってきた。 そのような時代の変化によって、平子が得意とするナチュラルで肯定的なスタイルが自然と受け入れられる土壌が生まれた。平子のフラットで肩肘張らない語り口は、多くの人にとって安心感をもたらすものになった。 普通のことを真面目に語っていても、それが味になる。多くの場面で普通のことを言わなければいけないテレビというメディアでは、平子のそのキャラクターが重宝される。「2024タレント番組出演本数ランキング」4位の称号は、そんな彼のスタイルを多くの視聴者が認めている証しなのだ。
ラリー遠田 1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。 デイリー新潮編集部
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