生まれ変わったカルティエ、伝説の旗艦店へ。
いまにも動きだしそう!と感じさせる創作はパンテールに限らず、彼女が去った後もメゾンで継承されている。
それはメゾンにとって財産である熟練の職人たちがいるからこそ可能なこと。アトリウムからの自然光が差し込む5階のアトリエで彼らは卓越の技を駆使している。それと呼応するように、昨秋のリノベーションにより、店内にはモザイク、ストローマルケトリー、レリーフ、刺繍、セラミックなどフランス装飾芸術が守るメティエダール(伝統工芸)の粋が改修時に贅沢に散りばめられた。3階のハイジュエリーのサロンはインド、アールデコ、ファウナ&フローラといった名称にふさわしい装飾スタイルが選ばれ、カルティエのジュエリーのインスピレーションの変遷を体感できる。この地で生まれたメゾンの象徴であるパンテールは、さまざまな手法で抽象あるいは具象で店内のあちこちに顔を覗かせる。まるでジャンヌが店内を鋭い視線で見守っているかのように。
高度な職人技とカルティエ スタイルにインスピレーションを与え続ける動植物が凝縮されているのは、ローラ・ゴンザレスに内装が任された最上階の「レジデンス」だろう。手作業が生きた動物が遊ぶ、ジャングルの屏風や緑鮮やかに植物が描かれた壁......カルティエの世界がポエティックに表現されたフロアで過ごすことが許された特別なゲストたちの記憶に、メゾンが大切にするホスピタリティとヘリテージが刻まれる。
13, rue de la Paix 75002 Paris France tel:33-(0)1-70-65-34-00 営)11:00~19:00(月~土) 12:00~19:00(日) 不定休 www.cartier.jp *「フィガロジャポン」2024年1月号より抜粋 text: Mariko Omura photography: Cecil Beaton Archive © Condé Nast, Vincent De La Faille © Cartier, Lucie et Simon © Cartier, Fabrice Fouillet © Cartier, Laziz Hamani © Cartier, Vincent Wulveryck, Collection Cartier © Cartier