かかりつけクリニックの支払いは「現金」のみ対応。キャッシュレス未対応なのは、何か理由があるの?
今や買い物をするときや外食をするときなど、キャッシュレス決済に対応しているお店を多く見かけるようになりました。 しかし、医療機関の場合はキャッシュレス決済未対応というところも多いため「現金のみでしか支払いができずに慌ててしまった」という経験がある人もいるかもしれません。なぜ、医療機関にはキャッシュレス決済が普及していないのか、その理由について調べてみました。 本記事では、医療機関におけるキャッシュレス決済の現状や、海外との違いについても詳しくご紹介します。
医療機関におけるキャッシュレス決済の現状
経済産業省がまとめた「令和2年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業報告書」によると、日本では医療機関におけるクレジットカード決済比率は低く、2018年度でわずか7.3%ほどとなっています。 諸外国における医療機関のキャッシュレス化とどのような違いがあるか確認しておきましょう。 例えばアメリカなどの多くの国では、病院や診療所でキャッシュレス決済が導入されており、多くの患者がデビットカードやクレジットカード、QRコード決済などで支払いをしているということです。医療費のほかに、決済手数料が発生することはないようです。 また、韓国では、都心部や大手の病院では90%以上の割合でクレジットカードが利用可能となっているようです。 病院側としては「現金払いしかできないと患者の評価が下がる」「高額な医療費の未収金を防ぐ」「現金の紛失を防ぐ」などの理由で、キャッシュレス決済に対応できるようにしているということです。なお、クレジットカードの手数料は病院負担となっています。
医療機関にキャッシュレス決済が普及しない理由は?
医療機関にキャッシュレス決済が普及しない理由としては、以下のようなことが挙げられています。 ◆導入コストや手数料が高い キャッシュレス決済は導入コストが高額になることもあるため、その負担を考えて導入に消極的になる医療機関もあるようです。 また、導入するとクレジットカード会社や電子マネー会社に対して手数料が発生してしまうでしょう。手数料を医療機関負担とした場合、小規模な医療機関だと負担が大きくなり、経営を圧迫してしまうおそれもあると考えられます。 ◆入金サイクルが遅い キャッシュレス決済だと現金払いと違い、支払いと入金のタイミングにズレが生じるでしょう。そのため、入金サイクルが遅くなって資金が不足するおそれもあるでしょう。 小規模な病院だと経営にも影響が及ぶ可能性があるため、導入にちゅうちょするところもあるようです。 ◆患者からの要望が少ない そもそも患者からの要望が少ないことも、キャッシュレス決済が普及していない理由の一つであると考えられます。特に、高齢の患者は現金払いを好む傾向があり、クレジットカードを持っていなかったり、持っていても使いたがらなかったりすることもあり得るでしょう。 キャッシュレス決済を導入しても利用率が上がらなければ、会計業務の効率化にはつながりにくいと考えられます。