【大学トレンド】「スマホが学生証に」「入学式の出席確認はQRコードで」…キャンパスライフを変えるDX
学生の成績や就活をデータ分析
三つ目の課題は、教育現場のデジタル化のメリットであり、懸念でもあります。 「今後は保護者の方もアプリを使えるようにすることで、学生の成績や授業の出席状況などを共有することも可能です。またアプリを使うことで膨大なデータが集まるため、例えば学食でバランスのいい定食メニューを食べている学生ほど成績が優秀などと、学食のメニューと成績との相関なども分析できるかもしれません。 ただし、思想や信条が表れる図書館の貸し出し履歴は保護されるべきだし、学生の行動や成績情報をどこまで保護者と共有するかという課題もあります。これまでなかった技術で想像以上のデータを集められるので、未知の課題が出てくるのは当然のことです。 だからといってDXを進めないという選択肢はもはやないでしょう。メリットのほうが圧倒的に大きいからです。成績優秀者や就職活動が順調な学生の行動傾向などは、有益なデータとして分析し、学生に還元していきたいと思います」 学のDXが学生生活にもたらす効果は実にさまざまです。例えば、立命館大学では、京都・大阪・滋賀のそれぞれのキャンパスをVRでリアルに体験できる「VRキャンパスウォーク」を公開し、自宅から遠くてオープンキャンパスに行けない高校生が、リアルに現地を歩いているような体験ができるシステムを取り入れています。九州大学・伊都キャンパスでは、アプリを使った予約でキャンパス内外に37カ所あるどのバス停からでも乗車できる、オンデマンドバス「aimo(アイモ)」を導入。AIがアプリのオーダーを分析して、複数の学生が乗り合わせた場合にも最適なルート・順番で学生を目的地まで送り届けています。 このような環境で過ごした学生たちは、卒業後、DXに関して「周回遅れ」ともいわれる日本の現状を変えてくれるかもしれません。
朝日新聞Thinkキャンパス