【大学トレンド】「スマホが学生証に」「入学式の出席確認はQRコードで」…キャンパスライフを変えるDX
QRコードで入学式に
CXデザイン局の渡辺圭祐事務局長は「従来のプラスチック型の学生証の代わりとして使えるQRコード『OI-PASS機能』を用いて、さらなる進化を目指します」と話します。 「現在は授業の出席確認などをプラスチック型カードの学生証で行う大学が多いですが、このカードを他のシステムでも使うには、専用の機器やシステムを設置する必要があります。一方、QRコードならスマホのカメラなどを介していろいろなシステムと容易につなげられるので、証明書発行機や授業の出席を管理する際にも使えます。今後は、学内での決済や図書の貸し出しなどにも導入を検討していく予定です」 DXを推進する大学の姿勢を感じてもらうため、同大学では入学式の出席確認もQRコードの読み取りで行います。「ピッ」とスマホをかざして大学生になるという、新時代の儀式です。
「学生ファースト」で
渡辺事務局長は、大学のDXを進めるに当たって直面する課題を三つに分けて説明します。 「課題の一つ目は、本来は学生ファーストであるべきなのに、改革が学生のためではなく、教職員のためのものになってしまいやすいことです。『学生に対応すること』が当たり前の仕事なので、今までは『学生に感謝される』ことを価値として追求していたかもしれません。この考えに軸足を置いたままでは真の学生ファーストにはなりません。学生が窓口に相談に来たら、職員はもちろん全力でサポートします。でも本来は、困りごとが発生しないのが一番なんですよね」 二つ目は、教務や学部などが細かく分かれた縦割り組織の中で、さまざまなシステムが乱立していたことです。同大学ではまず職員のマインドチェンジにじっくり時間をかけたうえで、各部署の若手・中堅職員がCXデザイン局に集まって統合的なデータベースを整備するなど、全学一丸となって一元化を目指しています。「学生はアプリから学内のあらゆる困りごとについてのFAQを閲覧できるので、困りごとの8割は窓口に来ることなく解決されるようになっていきます。これにより窓口では、本当に困っている学生の相談にしっかり時間をかけることができます。学生支援課の職員からも、相談の内容や求められるサポートがより深いものになってきたという声が上がっています」