自主トレに愕然「お前ら何やっているんだ、帰れ」 目を疑った衝撃の光景「なんだこりゃ」
6月に首位に立ち、そのまま優勝…忘れられぬ冷えたビールでの祝勝会
「本当に野球がやれるのか、やっていいのかというところから始まって、(宮内義彦)オーナーが『こういう時だからお客さんが入らなくてもやるぞ』と言われて神戸でオープン戦を行ったんですけど、皆さん大変な時なのに、一塁側がガバッと埋まって、こんなに来てくれるんだって思って……。そういうところからチームに勢いがついた感じがします。よくファンの人に力をもらうっていうけど、まさに、でしたね」 オリックスは6月に首位に立つと一気に突っ走った。マジック1から足踏みし、本拠地・神戸では決められなかったが、敵地・西武球場での9月19日の西武戦に8-2で勝利して阪急時代以来、11年ぶりのリーグ優勝を成し遂げた。星野氏はその試合に先発し、5回1/3を2失点で勝利投手になった。「ゲーム差もあったし、そんなきゅうきゅうな気持ちで投げていませんでしたけどね。ただ神戸でできなかったのが残念だったなぁというのはありましたね」。 その前の9月17日のロッテ戦(GS神戸)は、7回途中までオリックスが3-1とリードしながら8回にリリーフエースの平井正史投手が打たれての負け。「僕は絶対先発2日前から(酒を)飲まないんですが、あのロッテ戦は途中までリードしていたので、これは(祝勝会などで)飲むことになるな。(19日は)二日酔いみたいな感じで投げるのかな、まぁ、それもいい経験かなんて思っていたら逆転されたんですよねぇ」とも星野氏は振り返った。 歓喜のビールかけ。「あの時ね、ビールがキンキンに冷えていたんですよ。全部ではなかったけど、最初の乾杯のやつとか、みんなが持っていたやつはね。寒い、寒いって言いながらかけていましたよ。まぁ、これも経験がなかったからですよね。次の年はちゃんとぬるいやつでしたから」。がんばろうKOBE。被災した方々を勇気づけるというよりも、逆にパワーをもらってつかんだ感動の優勝だった。冷たかったビールも含めて星野氏の脳裏に深く刻まれている。
山口真司 / Shinji Yamaguchi