【日本市況】円が5カ月ぶり安値、利上げ期待後退で一時156円台後半
(ブルームバーグ): 19日の日本市場では円が一時1ドル=156円台後半まで下げ幅を拡大し、5カ月ぶり安値を付けた。米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル高の流れの中、日本銀行による利上げ見送りを受け、円売り・ドル買いが活発化。さらに、植田和男総裁の午後の会見で来年1月の利上げを強く示唆する発言がなく、円の下落率は1%を超える場面があった。
植田総裁は会見で利上げの判断について、来年の春闘などに関する情報が必要との考えを示した。発言を受けて債券先物は夜間取引で上昇し、日経平均先物は3万9000円台に戻した。
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、植田総裁の春闘重要視の発言で市場は来年1月の利上げには消極的な印象を受けたと指摘。追加利上げが早くても3月以降となると「円売り安心感が出てくる」と話した。
日銀はこの日の金融政策決定会合で政策金利を0.25%程度に据え置くことを決定した。これに先立ち、米国ではFOMCが3会合連続の利下げを決めるとともに、来年の利下げペース鈍化を示した。市場では日米金利差はそれほど縮まらないとの見方から円の下値を試す機運が高まっている。
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、植田総裁の会見はここまでハト派的とは思われていなかったことを、為替市場での円安・ドル高の進行、債券先物夜間取引の上昇が示した格好だと指摘。その上で、日銀が過度なハト派を修正するコミュニケーションをするかどうかが注目されると述べた。
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--取材協力:酒井大輔、アリス・フレンチ.
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Saburo Funabiki, Momoka Yokoyama, Hidenori Yamanaka