「訪日客に杉の香り漂う樽酒を」 京都・伏見で菰樽づくりが最盛期
新年の鏡開きなどで使われる日本酒の菰樽(こもだる)づくりが、酒どころの京都・伏見で最盛期を迎えている。宝ホールディングス傘下の宝酒造の伏見工場で職人が吉野杉でできた酒樽にわらで編んだ菰を巻き、縄で締め付ける作業を公開した。 菰樽の始まりは、江戸時代に伏見や灘といった酒の名所から江戸へ日本酒を輸送する際、樽を保護するために手近な稲わらなどを巻いたこととされる。近年はブランド力を高めるための広告媒体として、装飾性の強いものが目立つようになったという。 宝酒造では「菰師」と呼ばれる職人が、「よいっしょ」の掛け声とともに樽をひっくり返したり、回したりしながら縄とひもを巻き、約20分で菰を固定していった。 今月中旬から製造はピークを迎え、年末まで3人の職人が1日最大約40個を仕上げていく。菰師の山本昌弘さん(64)は、日本の伝統的酒造りがユネスコの無形文化遺産に登録されたことを受け「多くの訪日客にすばらしい杉の香りが漂う樽酒を味わってもらいたい」と話した。(園田和洋)