知ってる?「信用金庫」と「銀行」は根本的に違う!兵庫姫路の信金が114年間“地域のため”貫くワケ
地域経済を語るにあたって欠かせない存在、「信用金庫」。日本の全企業数のうち99.7%を占める中小企業、約336万社の3割以上は信用金庫をメインバンクとしており、金融機関業態別シェアも拡大しています。しかし、普段接する機会の少ない人にとっては未知の領域かもしれません。 【写真】創業114年の信用金庫 「地域のため」の信念で取り組むプロジェクト 例えば、信用金庫と銀行にはどういった違いがあるのでしょうか? 知っているようで知らない信用金庫の役割について、ラジオ番組で信用金庫の理事長に詳しく聞きました。 ☆☆☆☆☆ 話を聞いたのは、兵庫県姫路市に本店を置く姫路信用金庫の理事長・三宅智章さんです。同信用金庫は、1910(明治43)年の創業以来114年にわたり播磨地域の経済を支え続けています。 三宅理事長は、まず信用金庫の成り立ちについて話しました。 そもそも「銀行」は為替業や両替商に端を発しており(※諸説あり)、現在はお金の貸し出し、有価証券などの資産から収益を上げて株主の利益を優先する“営利法人”です。対して信用金庫は「地元中小企業の方々が自分たちで出資して作った“組合”」と三宅理事長は説明しました。 つまり信用金庫は、根底に相互扶助の精神が流れる“非営利法人”。英語でも、銀行は「Bank」、信用金庫は「credit union」「credit association」さらには、銀行と区別して「shinkin bank」とされるなどしています。 三宅理事長によると、地域の人たち自らの出資に至ったのは「中小企業の方々が銀行からお金を借りるのはハードルが高い」ことが理由だったといい、その経緯あって「設立当初から『地域のため』が、絶対に揺るがない理念となっています」と信用金庫の存在意義を語りました。 他にも、信用金庫と銀行では、利用資格(信用金庫は地区内在住や在勤などの条件、事業者は且つ一定規模以下の条件あり)や根拠となる法律(信用金庫法と銀行法)、業務の範囲(預金・貸出金の制限など)も異なります。 そういった背景から、姫路信用金庫も「すべてを郷土繁栄とともに」を創業理念に掲げるとともに、取引先企業の夢や課題に寄り添い、一緒にゴールを目指す“伴走型支援”などの取り組みも積極的に行っているといいます。 番組でパーソナリティを務める清元秀泰姫路市長は、「信用金庫というと、お金のやり取りを行う場所というイメージを持っていらっしゃる方も多いと思います。でも実は、第三者の立場から企業の事業計画を見直すきっかけになることもあり、コンサルタント的な部分も持っている」と、その役割に言及。「企業が時代の流れに応じて生き残っていくためのナビゲーター役もしていただいていると感じています」と語りました。 三宅理事長によると、同金庫は様々な地域貢献活動も実施しているとのこと。「節目の年を迎えたときに、お世話になった地域に恩返しをする意味で、何かしら地域貢献活動を始めることが多いです」と三宅理事長は話し、姫路出身の詩人・有本芳水を顕彰し創設した「子供の詩 有本芳水賞」や、各家庭から持ち寄った未使用食品を地元のNPOへ寄贈する取り組みについても紹介しました。 三宅理事長は「“姫路”という看板を背負わせていただいている。職員一同、姫路市とともに……ということを心がけて、これからも歩んでいきたい」と、地元経済の支えであり続ける意志を改めて明らかにしました。 【参考】 ・中小企業庁「中小企業白書」 ・帝国データバンク「全国企業『メインバンク』動向調査」(2024) ・独立行政法人中小企業基盤整備機構公式サイト ・日本銀行「歴史に学ぶ銀行の在りかた」 ・一般社団法人全国信用金庫協会公式サイト ※ラジオ関西『ヒメトピ558』2024年12月6日、13日放送回より
ラジオ関西