なぜ?バス会社が「畑違い」のイチゴ栽培 地域貢献のために始めたら…全国の菓子店から注文相次ぎ特産品に
生産開始から青木さんを支える農場長の鈴木麻琴さん(26)。イチゴ生産に引かれ、入社しました。 苗香屋 農場長・鈴木麻琴さん: 「イチゴも好きでしたし、バス事業の会社が農業をやるってことに興味を持ちました。楽しいです。生き物なので毎日顔が違うし、やりがいがあります」
■試行錯誤の末…全国から引く手あまた
失敗を繰り返し試行錯誤するうちに、数年後、納得できるイチゴが栽培できるようになりました。 味は折り紙付き。1キロ3000円から4000円の高値で流通し、今や9割以上は全国の菓子店に送られます。 都内の有名洋菓子店のパフェにも使われています。
苗香屋・青木一徳さん: 「引く手あまたですよ。収量が少ない品種なのでしょうがないですけど、売れて売れて、毎日、減量の電話を、注文通りじゃなくて、減らしてくださいとお願いしながらです」
100周年の2019年には、「恋姫」をデザインしたラッピングバスを都内と伊那谷を往復させてPR。
単独でも収益が見込めるようになり2022年、分社化されました。 生産技術の向上で今年の収量は10月末の時点で過去最高を更新。当初の1.5倍程度に増えました。 苗香屋・青木一徳さん: 「かわいいですね。『姫』なんですけど、じゃじゃ馬なんですよ。本当に言うこときかない。いかになだめるかがテクニックなんですけど」
■農業で地域を盛り上げたい
実はこれからが「恋姫」の一番おいしい季節。 夏場は開花からおよそ25日で収穫しますが、気温が下がるこれからは45日ほどかかり、その分、糖度を蓄えるため特に甘いということです。
冒頭で紹介した二葉堂は伊那バスによる生産当初から「恋姫」を使っています。 二葉堂 洋菓子製造課長・岩崎利夫さん: 「今までは輸入物とかも使っていたんですけど、なかなか満足のいく品物が来なくて.(恋姫は)ただ甘いのではなくて、ちゃんと酸味もあったしっかりしたイチゴの味を生かすようなケーキをできればなと考えています」
恋姫のチーズモンブランを試食―。 (記者リポート) 「イチゴの甘さがケーキに全然負けていません」
伊那谷の夏秋イチゴを世に広めた伊那バスの青木さんたち。今後は積み上げてきたノウハウを広めさらに地元に貢献したいと考えています。 苗香屋・青木一徳さん: 「生産者も増えたらいいなと思いますし、Iターン、Uターン、若者が就農しやすく、1年目からでも失敗することなくできるような環境づくりをして、伊那市がまた盛り上がるような、農業で。そんなところを目標としています」
長野放送