なぜ?バス会社が「畑違い」のイチゴ栽培 地域貢献のために始めたら…全国の菓子店から注文相次ぎ特産品に
(記者リポート) 「採りたての『恋姫』をいただきます。うーん、甘くてジューシー!!すごく豊かな香りが口いっぱいに広がります」
■「恋姫」の知名度を上げたい
「夏秋イチゴ」は、流通量が減る6月から12月が最盛期。 菓子店などから高い需要があります。 しかし、当初、「恋姫」の生産農家は3軒ほど。そのうちの1軒が青木さんの知り合いでした。 苗香屋・青木一徳さん: 「(知人が)地元でも栽培している方が少ないし、知名度が上がらないと。何か方法はないかということで、企業で取り組みを始めれば広がりやすいんじゃないかと思ったし、バス屋で農業を始めるのもおもしろくていいんじゃないかと」
「恋姫」を後押ししたい。青木さんは100周年の新規事業に提案します。 伊那バス・藤沢宏正専務: 「当初は、社内からも『どうして?』っていう声も多かったんですけど、地域貢献という面で優れたものであると、数字も何とかなるならやらない理由はないと」 青木さんの提案は見事、採用されましたが、思いがけないことがー。
苗香屋・青木一徳さん: 「採用になったのはうれしかったんですけど、言い出しっぺがやれよっていう話になるとは思わなくて(笑)」 全くの素人の青木さんが担当者に。1年間はイチゴ農家での修業に充てました。
苗香屋・青木一徳さん: 「もう、失敗だらけでしたね。失敗というか、やったことないので、“こうやるとうまくいかない”ということが分かったとポジティブに捉えています」 標高880メートルで昼夜の寒暖差が大きく、日の出・日の入りが早いこの地はイチゴの栽培に適していました。 しかし「恋姫」は肥料のコントロールなどが難しく、最初の数年は失敗して、イチゴを廃棄することも。
それでもー。 苗香屋・青木一徳さん: 「完全な転職じゃないですか、楽しみでしたよ。楽しみでしたし、今でも楽しいです。植物相手ですし、愛情をかけただけ返ってくる」