記念日にサヨナラ失策をした阪神の鳥谷が犯したもうひとつのミス
阪神がペースを握っていたゲームをサヨナラで落とした。19日のナゴヤドームでの中日戦。3-3で迎えた9回裏二死二、三塁から中日の京田陽太の三塁正面のゴロを三塁手の鳥谷敬(35)がジャックル、それが痛恨のサヨナラタイムリーエラーとなった。 鳥谷の守備位置はバックホーム体制。京田の正面をついたゴロを一度、グラブで小さく弾いた。落ちたボールをグローブで拾い、すぐさま一塁へスローイングしたが、左打者で足の速さが売りの京田は、一塁へヘッドスライディング、ベースタッチが間一髪早かった。 捕球の際、足が動いていなかった。そして肘が硬くボールを待ち受ける際のグローブの角度もおかしかった。京田のスピードに、ひとつのミスがサヨナラにつながるプレッシャー……硬くなる条件は揃ってはいた。 「なんとかなると思って食らいつきました。僕の持ち味は足なので全力疾走しました」と、意外な形でヒーローとなったルーキーが笑顔で勝利インタビューに応えている頃、鳥谷は、「しっかり取って投げていればアウトだった」と、敗戦の責任を負っていた。 この日は、試合が成立した時点で金本監督の持っていた記録を抜き去って、歴代単独2位となる連続試合出場記録が「1767」にまで伸びた。元広島の衣笠祥雄の持つ2215試合の日本記録には程遠いが、賞賛されるべき金字塔が、最悪の記念日となってしまった。 実は、鳥谷は、もうひとつの小さなミスを犯していた。 この回、先頭の堂上に三塁線を破られる二塁打を浴びたことが、サヨナラ劇のスタートとなったが、ここは、長打警戒が鉄則の場面。セオリーとして三塁線を破られることだけは避けなければならなかった。鳥谷は、通常よりは若干、三塁ベース寄りを守っていたが、もう少し詰めてスペースを消しておかねばならなかったのではないか。鳥谷は飛びついたが、もし打球を止めることができていれば、二塁打にされることはなかった。その後の展開も変わったかもしれない。 鳥谷に気の毒な面もある。