記念日にサヨナラ失策をした阪神の鳥谷が犯したもうひとつのミス
昨年も三塁で15試合スタメン出場しているが、三塁としては経験不足。今春キャンプは「ショートで勝負」をかけたため、ほとんど三塁の練習はしていない。ショートと三塁の決定的な違いは、打者との距離が近いゆえ、打球の種類が多種多様に渡ることだ。打球はショートと比べものにならないくらいに速いし、詰まった打球や、ひっかけた打球など、飛んでくる打球の回転数や質も、ショートよりも距離が近い分だけ厄介なものになる。 また止めて前に落とすだけでアウトにできるケースもあれば、走者の走力によっては、この日のエラーのように、ひとつのお手玉が命取りになるケースもある。また一塁へのスローイングの際の投げる角度もショートとは変わる。ショート、セカンドのような広い守備範囲は求められず、瞬発力勝負のポジションのため、一歩目がさらに縦横になる。脚力を含めた豊富な運動量とスピードは、ショートのポジションまでは必要ないが、三塁には、三塁の専門職的な技術と経験が求められるのである。 また鳥谷は早大時代から三塁からのスローイングを不得手にしていたという話もある。それらを考慮すれば、キャンプインと同時に、鳥谷には三塁を含めた複数ポジションの守備練習に、もっと時間を割かせておくべきだったのだ。しかし、チームは、そういう方針を立てなかった。 センターラインが固定できず、ここまでチームの失策数「16」はリーグワーストである。試合前練習を見ていると、久慈内野守備コーチだけでなく、高代コーチも、鳥谷と共に守備への不安を抱える一塁の原口へ向けて送球処理をイメージできるノックを打ってみたりと、内野守備を整備しようとする工夫は見える。FA糸井の加入が、非常に効果的で、得点力が昨年に比べて数段アップしているだけに、シーズン中にどこまでできるかの問題はあるが、早急に守備力アップは進めておきたいところだろう。