7月会合での追加利上げ、「場合によっては十分あり得る」-日銀総裁
(ブルームバーグ): 日本銀行の植田和男総裁は18日、次回の7月の金融政策決定会合で追加利上げを行う可能性があるとの見解を改めて示した。参院財政金融委員会で答弁した。
植田総裁は、7月会合までに入手できる経済・物価・金融情勢に関するデータや情報次第としながらも、「場合によっては政策金利が引き上げられるということも十分あり得るというふうに考えている」と語った。
2026年度までの日銀の見通し期間の後半には基調的な物価上昇率はおおむね2%に達していくとの見通しを持っているものの、「それが確実に実現するかというところまで、まだ確信は持てていない」とした。その上で、「確信の度合いが上がったところでは、短期金利の水準を引き上げることを通じて、金融緩和の度合いを適切に調整していく」と述べた。
日銀は14日の会合で政策金利を維持する一方、月間6兆円程度の長期国債買い入れの減額方針を決めた。7月会合で今後1、2年程度の具体的計画を公表する。総裁は記者会見で「減額する以上、相応の規模」になると語った。7月会合での利上げも「当然あり得る」と述べ、円安けん制との見方が出ていた。この日の答弁でもタカ派的な見解を繰り返した。
先週の会合で政策金利を据え置いたことに関しては、4月以降に発表された各種の情報やデータはおおむね日銀の見通しに沿ったものとしながらも、「基調的な物価上昇率がしっかりと高まっていくかどうか、もう少し引き続き点検していく必要があると考えた」と語った。
18日の東京外国為替市場では、植田総裁の利上げを巡る発言を受けて円買いがやや優勢となり、対ドルで一時前日比0.1%高の157円52銭まで上昇した。
総裁は既往の輸入物価上昇を起点とした価格転嫁の動きは落ち着いていくとみており、実質所得の前年比は徐々にプラスに転化していくと指摘。ただ、足元の「為替の円安や輸入物価の動向には注視していく必要がある」と語った。