大阪の「100円たこやき」店主を直撃。オープン時は人件費ゼロ、お金を得るよりも大切な“資本”とは
そうだ…高校生以下は無料にしよう!
たこ焼きを100円で提供しようと思った理由については、記事の序盤でも触れた「趣味の延長だから」という思いにつながる。そこに、価格を安くすることで「(お客さんが)たくさん来てくれたらいいな」といった考えや社会関係資本の概念が後押しをした形だ。 「近い距離で気軽に雑談できるコミュニティを持っていないと気づいたことが、自分の生活を取り巻く資本を見つめ直すキッカケになりました。日々の生活を支える金銭や財産などの経済資本、そして、人とのかかわりなどによる社会関係資本の大きく2つです。 すると、自分のなかに社会関係資本が不足していることに気づきました。逆に、僕は通信制高校で数学を教える教師。月々お給料をもらっているので、経済資本の面においては満たされている。そう感じたことも『100円たこ焼き』のオープンへとつながりました」 その後しばらくは、家賃や材料費だけでカツカツ。人件費は捻出できない状況が続いている。普通なら、たこ焼きの単価アップを検討するだろうが、たこやき先生はさらに高校生以下が無料でたこ焼きを食べられるようにしようと思いつく。
キッカケは友人の言葉
高校生以下が無料でたこ焼きを食べられるようにしようと思いついたキッカケは、店に来店してくれた友人の言葉。友人が支払い時に、「あまった分はおごチケ(おごりチケット・ほかの誰かにおごってあげて)にでもしてあげて」と言ったことだった。 「試行錯誤を経て、チケット制度を導入。まず、子どもたちにたこ焼きを食べてほしいと思った大人が料金を支払って“たこやきチケット”を購入します。そして、店内に設置。そのチケットを、高校生以下の子どもたちが使うことで、たこ焼4個と引き換えられる制度です」 店頭では、100円から100円単位で好きなだけ“たこやきチケット”を購入可能。そのほか、メディアプラットフォーム「note」を通じてサポーターになることもできる。 「僕が立ち上げているnoteの“100円たこやき公式サポーター”というページでは、100円・300円・1,000円という3パターンから選んでサブスクリプションに申し込めます。ただ、この“100円たこやき公式サポーター”は、見返りを求める方にはおすすめできません」 なぜなら、「子どもたちがたこ焼きを無料で食べられるということ以外に形として何か残るようなリターンはないですし、月々使われなかったチケット分は僕の人件費になるからです」と続ける。