パリ五輪最終予選へ臨む女子代表、指揮官・恩塚亨の確信(前編)「いかに自分たちの土俵で戦えるかが、1番の本筋になります」
「どんな状況でも、最後まで自分たちのバスケットボールをやり抜けるようにする」
――OQT直前ですが、Wリーグの開催中で代表活動ができない中、どういったことに取り組んでいますか。 この3カ月間、自分たちや対戦チームのことを猛烈に勉強しています。そして代表活動を行う時、いかに効率的に本気で勝つための要素を入れられるかにエネルギーを注いでいます。本当に大変なことで今も毎日、7時間、8時間と映像を見ています。毎日、選手と一緒に練習しながら試せる方が良いに決まっていますが、変えられないものは変えられない。今、与えられた状況で論理的に勝つための準備をしています。 ――OQTの対戦相手の世界ランキングを見るとスペインは4位、カナダは5位と日本(9位)より上です。ハンガリーは19位ですが、ホーム開催の大きなアドバンテージがあります。対戦相手の印象を教えてください。 スペインは言い方が難しいんですが、喧嘩が強いなという感じです。爆発力もありますし、戦い慣れしています。そしてギャンブル的な要素のスティールを仕掛けてくる、勝負師の軍団というイメージです。特にディフェンスが強く、読みとボールマンプレッシャーに注意しないといけないです。 カナダはWNBAでプレーしている選手も多く、個の戦う能力はすごく高いので、個で打開してくる力が強いです。逆に私たちはチームで戦ってカナダの個を停滞させ、孤立させるような戦い方ができるかが鍵となります。 ハンガリーは統率の取れたフィジカル集団で、ラグビーチームみたいな感じです。 最後までブレずに戦い抜いてくるし、ものすごいフィジカルです。腕を使ったり、あえて突き飛ばしたりもしてきます。特にインサイドの部分で僕たちが先手を取って戦えるのか、リバウンドを制することが重要です。 ――フィジカルで負けないことが最も重要ということでしょうか。 3チームとも、本当にフィジカルです。その上で、ファウルを吹かれないので、しっかりと準備をしないと相当に面を食らうと思います。また、会場もハンガリーですし、かなりフィジカルな戦いになることが想定されます。 ――強力なフィジカルを持つ相手に対し、日本はどんな戦いで勝機を見出していきますか。 結局はいかに自分たちの土俵で戦えるかが、1番の本筋になります。フルコートで速い展開に持ち込む。相手がぶつかってくる前に先にぶつかるなど、自分たちから仕掛けて有利に状態になった上でコンタクトをする。その積み重ねが大事で、この状況を作り出していく準備をしています。普通にやったら相手の土俵に引きずり込まれると思っているので。 直前の合宿では新しいことができるようになるというより、どんな状況でも最後まで自分たちのバスケットボールをやり抜けるようにする。この目標設定で臨みたいと思います。裏を返せば、それさえできれば勝負になるという論理的な確信はあります。
鈴木栄一