建て替えに…東京で販売 札幌マンション新時代
今週のけいナビの特集は「マンション」について。マンション建て替え円滑化法にのっとった建て替え事業が、札幌の人気住宅街円山で始まったほか、大手の不動産会社が札幌の物件を東京で販売する取り組みを始めた点に着目、その背景に迫る。 まずは、札幌初かつ北海道初となる法に基づく建て替え事業について。商業施設マルヤマクラスのそばにある、築47年目の分譲マンション「円山パークサイドマンション」がその対象だ。事業を進めるのは、札幌で近年大型分譲を積極的に行っている京阪電鉄不動産(大阪)だ。 円山パークサイドマンションは現在解体中で、2025年3月ごろに解体を終え跡地に新たなマンションを建設、26年冬頃の完成を目指している。居住者の一部は新たなマンションに住み続けるが、大半は権利を手放すという。もともと、賃貸に出している所有者が多い物件だった。 今回は法に基づく初の建て替え事業とあって、行政との調整に時間を要した。その部分を担当したのが、札幌の再開発コンサルタント会社、アーレックスだ。
林秀樹社長は、「関与してから建て替えが決まるまでに4年ほどかかった」とする。マンションを建て替えるには、区分所有者の5分の4以上の同意を得て建て替え決議をし、そのうちの4分の3以上の同意で建て替え組合を設立する-といった具合にハードルが高い。そのようなハードルを乗り越えて建て替えに至った一番の理由は、「多くのデベロッパーが再分譲したいと考える円山という土地柄にある」と説明する。 札幌の物件を東京で販売する動きも出てきている。住友不動産が建設中の「シティータワー札幌すすきの」もその一つだ。 東京・港区にある汐留住友ビル。この21階にある総合マンションギャラリー新橋館では23年8月から札幌の物件を扱っている。 不動産経済研究所によれば、札幌の23年の新築分譲マンションの平均価格は4980万円。一方、東京23区の平均価格は1億1483万円に上る。札幌の価格も高いのだが、東京から見るとまだ「割安」な状態。そのため、札幌の物件が東京で人気なのだ。