<ソチ五輪>ノルディック複合 銀メダルを支えた秘密基地
ベッドには、全日本スキー連盟のスポンサーである寝具メーカーの提供によるマットレスを、各自が敷いている。他の選手が2人部屋という中、渡部暁斗だけが1人部屋に入っているといい、「ベッドの硬さもちょうど良いし、寝心地はとてもいい」とご満悦だ。このほか、食事のサポートはもちろんのこと、マッサージルーム、トレーニングルームがあり、「トイレットペーパーが切れることもないし、本当にストレスがない。これからもぜひ続けてほしい」(渡部暁斗)と“マルチサポートハウス様々”だ。 ■フレンツェルとの一騎打ち 4秒及ばず2位 試合は、前半のジャンプを2位で終えた渡部暁斗と首位発進のエリック・フレンツェル(ドイツ)とが、後半のクロスカントリー(10キロ)で一騎打ちになる展開。スタート前、後続が大集団になることが予想されたため、フレンツェルと相談し「協力して一緒に逃げよう」と話したという渡部は、無駄な力を使わないスムーズな走りで、レースの半分以上を先頭で走って引っ張り、最後の登りでスパート。そこで食らいつかれたことで、逆に最後の下りで一気にフレンツェルに差をつけられ、わずか4秒及ばずに銀メダルとなった。 「最後の上りは、あそこしか追い抜くポイントがないと思っていたので、長めに仕掛けようとした。あそこでトライしたことで疲れてしまい、最後はいつも通りの実力を出された。でも、思ったところで仕掛けて負けたので、悔いはない。これでようやく、翼を広げることができたと思う」 ■黄金期を支えたレジェンドが見守る 現在、複合チームのコーチ陣には、1992年アルベールビル五輪、1994年リレハンメル五輪で2大会連続団体金メダルを獲得した黄金期のメンバーである阿部、河野がおり、また、試合会場には渡部暁斗が所属している北野建設スキー部の監督を務め、テレビ解説のためにソチ入りしている荻原健司も来ていた。まさにレジェンドたちに見守られての銀メダルだった。