【全米プロゴルフ選手権】世界ランク1位の選手が直前に逮捕… シャウフェレ初優勝で「いい大会だった」
粘りのゴルフで優勝
最後に勝利したのは2022年7月のジェネシス・スコティッシュ・オープン。あれから2年以上も優勝から遠ざかっていたシャウフェレだが、それでも世界ランキング3位で今大会を迎えたところに彼の底力と惜敗の多さがはっきりと見て取れた。 「シャウフェレは勝てそうで勝てない」 「シャウフェレはツメが甘い」 「シャウフェレはメジャー・チャンピオンにはなれない」 そんな屈辱的なフレーズを自ら払拭すべく、今大会のシャウフェレは決して諦めず、決して揺るがず、粘りのゴルフを披露していた。最終日は10番でボギーを喫した直後に11番、12番で連続バーディーを奪い、ネバーギブアップを地で行くゴルフをしていた。 そしてプレッシャーがかかる最終ホールで1メートル半のバーディーパットを見事に沈め、とうとう悲願のメジャー初優勝を成し遂げた。 「とてもいい気分だ。とても甘美な味わいだ」 かつて一時期だけタイガー・ウッズのスイングコーチを務めたクリス・コモの指導を今年から受け始め、新たな道を進んでいる。 幼少時代から常にシャウフェレに同行していた両親の姿は今年のバルハラGCには見られず、ウイニングパットを沈めた彼を出迎えたのは、21年に結婚した愛妻マヤと友人たちだった。 プロ転向から9年、長い歳月が流れる中で、さまざまなことが変化していった。その流れの中で、自分ができることに最大限取り組んできたシャウフェレがようやく掴み取った初めてのメジャー・タイトルは、大会史上11人目の完全優勝というビッグなオマケ付きとなった。 そしてPGAツアー選手のシャウフェレとリブゴルフ選手のデシャンボーが最後まで競り合い、惜敗したデシャンボーが潔くシャウフェレを讃えたグッドルーザーぶりも味わうことができた今年の全米プロは、いい大会だった。
舩越園子(ふなこし・そのこ) ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。 デイリー新潮編集部
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