【全米プロゴルフ選手権】世界ランク1位の選手が直前に逮捕… シャウフェレ初優勝で「いい大会だった」
試合開始に間に合った
その後、逮捕・拘束されたその男性が「世界ランキング1位の王者スコッティ・シェフラーだ」「全米プロ出場選手だ」とわかったからなのだろう。手錠をかけられた午前6時35分からわずか2時間ほどでシェフラーは自由の身となり、皮肉なことに今度は警官のエスコート付きで大急ぎでバルハラGCへ急行。 事故の影響で大渋滞が起こったため2日目のスタート時間が遅らせられていたことが幸いし、9時12分に会場に到着したシェフラーは10時08分のスタート時間になんとか間に合うことができた。 そして前代未聞の逮捕劇を経験したシェフラーは、まるで極度の緊張を極度の集中に変えたかのように、スコアを5つ伸ばし、4位タイへ急浮上。 しかし、一夜明けたらさすがに疲れが出たのか、3日目は一転してスコアを落とし、24位タイへ後退した。それでも最終日は65をマークして再浮上し、8位タイで4日間を終えたところはさすが世界ナンバー1の貫禄だった。 しかし、警官にケガをさせて逮捕されたシェフラーがすぐに自由の身となって試合に戻ることができたことに対しては、「スーパースターの特別扱い」「試合を棄権すべきだった」等々、批判の声も多数上がっている。 5月21日に予定されていた罪状認否は6月3日に延期され、今後の成り行きが注視されている。
先週のツアーでは逆転され優勝を逃す
そんな仰天のドタバタ劇に翻弄された全米プロだったが、決勝2日間、とりわけ最終日は、純粋なゴルフの熱戦がファンの視線を釘付けにした。 サンデー・アフタヌーンを首位タイで迎えたのは、30歳のザンダー・シャウフェレと27歳のコリン・モリカワという2人の米国人選手だった。だが、なかなかスコアを伸ばせず停滞していたモリカワに代わって、米国出身で30歳のリブゴルフ選手、ブライソン・デシャンボーがスコアを7つ伸ばし、シャウフェレに並ぶ通算20アンダーで先にホールアウトした。 その数十分後に最終ホールの18番(パー5)にやってきたシャウフェレは、「バーディーなら優勝、パーならデシャンボーとのプレーオフ」という状況下、1メートル半のバーディーパットをしっかり沈めて悲願のメジャー初優勝を達成した。 ドイツとフランスの血が流れる父親(ステファン)と日本育ちの台湾人の母親(ピンウエイ)を両親に持つシャウフェレは、カリフォルニア州サンディエゴ郊外で生まれ育ち、サンディエゴ州立大学を経て2015年にプロ転向。PGAツアーにデビュー後、17年にシーズン最終戦のツアー選手権を制し、そのとき初めて全米レベル、いや世界レベルの注目を浴びた。 以後、着々と勝利を重ねて通算7勝を挙げ、2020年東京五輪では金メダルを獲得。しかし、メジャー4大会ではトップ10に12回も食い込んだというのに惜敗ばかりを喫し、悔しさを噛み締め続けてきた。 先週もPGAツアーのウエルスファーゴ選手権で最終日の7番まで首位を走りながら、ゾーンに入った状態のロリー・マキロイに大逆転されて勝利を奪われたばかりだった。