「これをやめたら、だらしないババアになるんじゃないか」大久保佳代子(53)が陥ったルーティンの罠? 生活は整うが、孤独は深まり…
ルーティンのせいで私の孤立が深まっている?
また、一人暮らしだとそのルーティンを完璧にこなせちゃうんだよね。 他者が介入しないから、自分のペースで動けちゃうから。 結果、居心地の良い自分の世界ばかりが構築されていって、どんどん他者に対して時間や感情を割かなくなっていく……。 あれ、ちょっと待って、もしかして、ルーティンのせいで私の孤立が深まっている? またさ、自分に厳しく完璧を求めていると、他人にもついつい厳しくなってしまうんだよね。 スタッフの女の子がちょっと太っただけで「なんで努力しないんだろう?」と蔑んだ目で見てしまったり。 仕事現場でウーンと不満に思うようなことがあっても、若い頃は「はいはい、わかりました」って言えたのに、最近は「それはちょっと違うんじゃないの」の一言がこぼれ出てしまったり。 で、「あんなこと、言わなきゃよかった」「傷つけちゃったかな」と後悔。 「もう、人に会うのはやめよう」と自己嫌悪に陥り、また家にひきこもって、居心地の良い自分の世界をどんどん広げていくっていう……。 あれ、やっぱりルーティンのせいで深まっているよね、私の孤立?(笑) 生活が整えば整うほど、孤立していく毎日、不寛容になっていく自分。 「私が目指していたのはここじゃない!」と頭を抱える今日この頃。 今、私が心から望んでいることはただひとつ。 それは「もう、このルーティンを崩したい!」。 そのために、必要なのはきっと、他者の介入。 誰かにペースを乱されたり、振り回されることで、この自分の思い通りになる世界を壊してもらいたい。 本当ならば恋愛がベストなんだろうけど。それは一人でできるもんじゃないから。 いっそのこと、交換留学生でも招き入れてみようかしら。 いや、でもそんなことしたら、他人との生活に耐性のない私の心のほうが壊れちゃいそうだから。 とりあえず、今は“これ以上、ルーティンを増やさないこと”を目標にしよう。 朝だけでなく夜にも決まりごとが増え始めている最近、このまま行くといずれ丁寧な朝食とか作り始めそうで心配。 土鍋で白米を炊いて、魚焼いて、ちゃんと出汁をとった味噌汁を作ったり、なんなら、その味噌も自分で作り始めちゃったりして。 そうなると、もう2時間前起床じゃ時間が足りないから、4時間前に起きるのかな。 で、そのうち(片岡)鶴太郎さんみたいに14時に寝て20時に起きるようになったりしてね。 こないだ、「ヨガに5時間かけ、朝食を2時間半かけて食べ、瞑想したりもするから、20時に起きないと時間が足りないって」って、テレビで言っていましたからね。 先日、我が家の台所にうっかり置いてしまった“味噌の本”。 とりあえず、家に帰ったらそれを処分しようと思います。 聞き手・構成/石井美輪 題字・イラスト/中村桃子 撮影/露木聡子
大久保佳代子